パーキンソン病/症候群の闘病記です。 同病の方々のご参考になれば幸いです。

idやURLのPSPとはパーキンソン症候群の中の進行性核上性麻痺、PAGFとはPSPの非典型例である純粋無動症の事です。

公園にてランチ―7

 

美術館の駐車場の入り口にはゲートがあり、カードを取るとバーが上昇する一般的なものだ。 気になる料金であるが、「2時間まで、無料」とある。 うん、なかなか良心的だ。 そこで私は、入り口に最も近い身障者用駐車場に停めた。

 

さて、入り口への案内に「入場料 大人一人300円」の他に「障害者は、半額」の文字を見つけた私は、手帳を取りに一旦車に戻った。 これが後々、体調悪化の遠因となった。

 

ここからが、問題であった。 と言うのは、駐車場が美術館の建物の裏側にあるのだ。 つまり、入り口は建物の長辺に沿って100m以上、歩かなければならない。 そこで、私は烏賊博士のリュックに掴まらせてもらいながら、杖を頼りに進んだ。

 

所が、先程、車まで往復した疲労感があり、脚に力が入らない。 そのため、「おっとっと」と転びそうになるのであるが、私の崩れ方に慣れた彼が、私を引き上げる様に支えてくれる。

 

そんな事があって漸く美術館の入り口に着き、二重の自動ドアを潜(くぐ)った。 するとロビーの様な広間がある。 彼は佇(たたず)んで、入場券売り場を探した。 その瞬間、またしても「おっとっと」となってしまった。 勿論、彼が力を入れてくれ、転ばずに済んだ。 そんな私達の様子を見ていた女性が、

 

   「車椅子を、お使いになりますか?」

 

と訊いてくれた。 声のする方を見ると、カウンターに囲まれた一坪程のスペースに、女性が二人いて、その内の一人が将にカウンターを離れる所だった。 どうもそこが、受付らしい。 

 

私は車椅子に乗り、烏賊博士の介助を得て進み、もう一人の女性に身障者手帳を提示した。 すると今度は、彼女は彼の年齢を尋ねた。

 

   「〇〇歳以上でしょうか?」

 

と。 彼が肯首すると、彼女は。

 

  「140円になります」

 

と言いながら、チケットを二枚出した。 どうも、こう言う事らしい。 入場料は本来、二人で600円。 これが身障者割引で本人と介護者一人が半額の300円、更にシニア割引で半額の150円。 折半し易い様に、140円の様だ。

 

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私達は館内に進み、芸術品を堪能した。 特に彼が各作品の真正面に車椅子を着けてくれたので、私は作品を観賞出来た。

 

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さて、一通り観賞したので、私達は車椅子を返却すべく、元の受付に戻った。 しかし、駐車場までの帰路も、私にとっては試練である。 仮に車椅子で帰ると、その返却のために、彼が駐車場と入り口との間を一往復しなければならない。 さて、ヨレヨレの私を支えながら帰るのと、彼にとってどちらの方が負担がすくないのだろう? ・・等と考えあぐねて私が車椅子から降りないでいると、受付女性の一人が、

 

   「どうぞ車椅子は、そのまま駐車場までお使い下さい。 置いといて頂ければ、(私が)後で取りにまいります」

 

と言ってくれたので、甘える事とした。 

 

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こうして、皆の優しさのお陰で、美術館を後にし、途中、烏賊博士を駅に落として、無事に帰宅した。 暫くして展示物が変わった頃、また行って見たいものである。 勿論、彼もそう思ってくれているだろう。