パーキンソン病/症候群の闘病記です。 同病の方々のご参考になれば幸いです。

idやURLのPSPとはパーキンソン症候群の中の進行性核上性麻痺、PAGFとはPSPの非典型例である純粋無動症の事です。

診察201705―4

 

5月は月初に総合病院の脳神経内科のF医師の診察を受けたが、F医師の

 

   「もう少し、細かく診たい」

 

と言う事により、5月末にもう一度診察があった。 そこでリハビリを終えた私は妻の介助による車椅子で、脳神経内科の待合室に移った。 そして数分待つと、前の患者の診察終了後、直ぐに呼ばれた。

 

私は車椅子を降り、私達は扉をノックして診察室に入った。 正面こちらを向いたF医師に挨拶し、恒例の(笑)メモを渡した。

 

 (1) 前回受診(2017年5月〇日)以降のイベントについて 

 

  • 5月○○日・○○日、〇〇駅前の○○学園に勤務する友人と公園でランチと散策。(自分で運転)
  • 〇〇日、Nets○○店にて、自家用車の定期点検を受けた。(妻の運転)
  • ○○日、貴院にてリハビリ後にDATスキャン検査を受けた。(放射性医薬品を静注・3時間後に撮像)

 

 (2) 前回受診(2017年5月〇日)以降の体調について 

 

  • 体調は比較的安定していたが、主訴である歩行能力が低下した。(すくみ足、前傾姿勢→突進歩行、歩容の悪化)
  • それに伴い、副訴である構音障害や開眼失行も悪化した。
  • 大宮公園では右手に杖を突き、左手で友人の背中のリュックを押さえて緩行した。
  • 貴院内等では、外来用車椅子を借用している。
  • 足がむくんでいる。

 

ここまで、(2)を丹念に読んでいたが、F医師からは特にコメントは無かった。 しかし、次の項目になると、急に饒舌になった印象がある。

 

 (3) DATスキャンの検査結果について  

 

  • DATスキャンの検査結果は、いかがだったでしょうか?
    • 形状
    • 集積度(周囲とのコントラスト差)
    • 左右の濃度差

 

F医師は、モニターに画像を映し出した。 上半分にはカラフルな楕円形が並び、下半分にはモノクロの楕円が整然と並んでいた。 これらの画像について、F医師が説明を始めた。

 

   「脳の水平断面で、こっちが前ですね。 元々は下にある様な白黒の画像なんですが、上のは便宜的に色を付けてあるんです」

 

と。 つまりDATスキャンの論文で良く見る様に、脳の実質が緑色なのは、見やすくするための人為的なものだと言う事らしい。 (いわゆる、「DATView」解析法である。) そして、脳の前部(断面の上部)にある2つの小さな紫色の楕円形を指し、そこが「線条体」だと言う。 更に良く見ると、2つの楕円はその長軸を「ハ」の字にした様に、左右対称に並んでいた。

 

   http://www.nmp.co.jp/member/datscan/case/case06.html

 

そして、同じ様な画像が並んでいるのは、脳を水平に切った時の高さの違いらしい。 以上の説明を前提に、私の質問に答えてくれた。

 

先ず形状であるが、水平断面は楕円形だった。 垂直断面は、薄い肉まんの様だった。 つまり、基底核は長軸を回転軸とした「回転楕円体」の様な形状をしているのだろう。 そして、俗に「オタマジャクシの尻尾」の様な、細長い構造体は見えなかった。

 

続いて集積度であるが、F医師は一番大きな画像の横の棒を示し、

 

   「この様に、濃いと白くなり、少し薄くなると赤くなって、やがて紫から黒へと・・」

 

と、画面に沿って説明した。 見ると色温度の様に、上から「白→黄→橙→赤→紫→黒」のグラデーション(Rainbow表示)があった。 私の場合の紫色は、棒の中央より下だ。

 

最後に左右差であるが、

 

   「左が3.8、右が3.6なので、左右差はありません」

 

と。 では、この3.8や3.6と言う数字は、多いのか少ないのか?

 

先程のDATViewでのRainbow表示では、最小0・最大6の範囲で正常値を4~5としている。 

 

   http://jsrt-chushi.jp/main/wp-content/uploads/2014/04/%E7%AC%AC33%E5%9B%9E%E5%A4%A2%E5%B7%A5%E6%88%BF%E5%A0%B1%E5%91%8A.pdf

 

であれば、私の検査値は正常域より低く、集積度も低下している・・と言わざるを得ない。 尚、この左右差が無い事は、臨床症状と一致している。

 

続いての疑問は、

 

  • そこから導かれる疾患名(または、除外される疾患名)は、何でしょうか?

 

である。 上記の質問に対し、F医師は読影医のコメントをモニターに表示した。 そこには、「パーキンソン症候群」をキーワードとした簡単な日本語が書かれていた。 彼はその部分を指し、

 

   「ねっ! (疾患名を)パーキンソン症候群として、矛盾はないでしょ!!!」

 

と、嬉しそうに言った。 もし本当にドパミン・トランスポータ密度の低下が進行性核上性麻痺の病因なら、なぜL-DOPA製剤が無効なのか、それなのになぜプラミペキソールを処方し続けるのか、私には理解が届かない。