パーキンソン病/症候群の闘病記です。 同病の方々のご参考になれば幸いです。

idやURLのPSPとはパーキンソン症候群の中の進行性核上性麻痺、PAGFとはPSPの非典型例である純粋無動症の事です。

抄読会―14

今日は、先週に引き続き、烏賊博士との抄読会の日だ。 先週は、遠い立体駐車場に停めたので、学校の前で転倒してしまった。 その結果、多くの人の暖かさを知る事となった。

 

   http://psp-pagf.hatenablog.jp/entry/2016/12/30/090713

 

同じ過ちを冒してはならない・・と思い、烏賊博士に、

 

   「万が一、駐車場が満杯だったら、私の車の中で話そう」

 

と、提案したら却下されてしまった。 その理由は、次の通りらしい。

 

   「それでは意味がないと思います。 この会は、週一回でも○○(私)を街に出す目的があります。 それなら、ホテルの喫茶室やレストランを利用しましょう。 あるいは車で公園に行きましょうか。 ともかく、(場所として)〇〇学園にこだわることはなく、居心地の良い場所を考えましょう。」

 

何と優しい男だろう! 勉強にかこつけて、私が病気により外出する機会が減らない様に、気を遣っていてくれるのである。

 

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さて、今日のテーマは「随意運動」である。 先ずは、「随意運動」と言う言葉から説明してくれた。 

 

それによれば、この言葉は非常に不思議だ・・と言う。 と言うのは、「随意」と言う「心」を表す要素と「運動」と言う「体」を表す要素が接続し、しかも前者が後者を修飾する事により、まるで相対する概念を一つにしている。

 

この場合の「体」と言うのは「心」の効奏器官であり、具体的には筋肉である。 では、「心」とは? 大脳皮質にある一次運動野だろうか? 

 

http://media2.picsearch.com/is?tqm07FRyJ_BDuqOfVGRRArrxFiuL3WB98-2kQfNuipU&height=340

 

彼はこの図に疑問をもっているが、まぁ、それは別として、ここから何らかの信号が発生するものとしよう。 この信号が、脳内のループを形成して最終的には脳幹から脊髄を、そして前根を経由して、筋肉に達する。 この時、神経の活動を電気信号として観察しよう。 シナプスを経由する度に50~80mS遅れるので、運動野の興奮が筋肉に届くまで大体数百個のシナプスを経由している事になる。

 

では、これと逆の感覚神経は? 感覚器を端とする信号は、脊髄の後角からから入り最終的には大脳皮質の感覚野に達する。 この時、1秒位の遅れが生じる。 では、脳は、1秒遅れで感じるのか? いや現実は、ほぼ同時に感じるのである。

 

と言う事は、(時間は戻らないので)1秒前の事象を記憶している事になる。 つまり、時間軸の異なる「仮想空間」が間に存在する事になる。

 

では、その「仮想空間」とは? 実感覚と脳内感覚を繋ぐものである。 例えば・・

 

テーブルの上に立方体があるとし、もし生まれつき白内障で失明していた人が成人して、手術により晴眼となったとしよう。 彼(彼女)には、その立方体がどの様に映るのであろう。 

 

彼には、明らかにその立方体は見えている。 しかし、

 

   「そこに、何がありますか?」

 

と質問すると、彼は手を伸ばして触るのである。 これが意味する所は、何であろう? 我々が普段見ている「立方体」とは、何なのだろう? これこそが「仮想現実」であると言うのである。

 

尚、「『心』とは? 大脳皮質にある一次運動野だろうか?」と言う疑問に対して、彼は否定した。 曰く、

 

   「大脳皮質にある一次運動野は、言わばキーボードである。 では、(キーボードを操作する)『心』はどこに?」

 

と。