抄読会―8
6月中旬の今日は、烏賊博士と抄読会のある日だ。 場所は烏賊博士の勤務先である各種学校である。 事前に連絡を入れて、午後1時前に到着する様、車で出掛けた。 勿論、自分の運転である。
その連絡とは、昼食の購入のお願いである。 マク〇ナル〇で100円バーガー(又は、チキンクリスプ)を2個、買っておいて貰うのが通例となっている。 そして、自販機で缶コーヒーを買いに行って貰う。 学内なので、90円だ。 つまり、合計290円(税込み)の昼食となる。
駐車場は、隣接するコインパーキングである。 見ると、満車サインが消えている。 そして駐車場に入ると、駐車スペースがない!?! しかし、なければ満車サインが点き、入り口でチケットが発行されないハズである。
そこで、駐車場内を探したら、確かにあった。 それは、フェンス際の奥の方だった。 仕方なく7~8回切り替えて、漸く白線内に入った。 少し、斜めであったが・・
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さて、今日も前回の論文の続きである。
http://psp-pagf.hatenablog.jp/entry/2016/07/18/080133
要約すると、「アルツハイマー病の様な神経変性性疾患の原因の一つと考えられているcis P-tauへの変性について説明をしている。 その変性部位はThr231-Proであり、この231番目のThr(スレオニン)の側鎖の水酸基がリン酸化される事により、タウ蛋白の荷電分布が変わり、この近傍で立体構造が(transから)cisへと変化する。 そしてPin1と言う酵素が、この変性したcis P-tauを元のへと戻す働きを持っている」であった。
さて、本日のトピック。 このtransからcisへのコンフォメーション変化がどの様な原因で起こるのだろう。 リスクファクターは色々あるが、例えば、TBI(traumatic brain injury)を惹起する衝撃がある。 これは急性の神経学的機能不全の特徴を持つのであり、これが慢性外傷性脳症(cronic traumatic encepharopaty)やアルツハイマー病の環境リスクファクターの一つと知られている。
なぜ、このTBIが重要かと言うと、スポーツや軍隊に関連する行動によって発生するからである。 そこで、TBIに至る衝撃によりcis P-tauが増加するかを研究する訳であるが、これには病態モデル動物が作り易い・・と言う事にもよる。
例えば、著者らはマウスに衝撃を与え、48時間後にcis P-tauを定量している。 これは、48時間でcis P-tauの量がプラトー(平坦)になるからであり、その後、1週間、2週間と経過しても有意な増加は無い。
では、cis P-tauをどうやって定量するのか? ご賢察の通り、特異抗体を用いる。 勿論、モノクロナールである。 と言う事は、trans P-tauとの弁別比の高い抗体を得た事になる。 のみならず、彼等はtrans P-tauに対するモノクロナール抗体も得ている。
と言うのは、これこそが、この研究のキモだからである。 そして抗原(cis 及び trans P-tau)のepitope(=抗原性を発現する部位)が、Thr231-Pro近傍である事に、間違いは無いだろう。
少し難しい事を申し上げたが、要は、立体構造が違うだけのcis 及び trans P-tau・夫々を特異的に検出・定量できる手段を得た事が、この仕事のベースになっている・・と言う事である。
では、そうやって生成したcis P-tauはどうやって増殖し、oligomer(オリゴマー)や成熟したtangles(凝集体)へと成長して行くのだろう? プリオンの様に、非酵素的に増殖して行くのだろうか? 残念ながら。これについては未だ知見はない。