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パーキンソン病/症候群の闘病記です。 同病の方々のご参考になれば幸いです。

idやURLのPSPとはパーキンソン症候群の中の進行性核上性麻痺、PAGFとはPSPの非典型例である純粋無動症の事です。

抄読会―3(APAとSAS)

さて、今年も友人が抄読会をやってくれると言う。 しかも、論文のタイトルは次の通りで、将に私の関心事である。

 

   「Postural preparation prior to stepping in patients with Parkinson’s disease」

              (M.A.Rogers et al, J.Neurophysiol 106:915-924,2011)

 

フルテキストがPDFで送られて来るので、勿論、プリントアウトして読んでおかなければならない。 まぁ、私の専門外であるが、英語なら何とかなる。 そこで、その中身を紹介しよう。

 

キーワードは、APA(anticipatory postural adjustment、予測的姿勢調節)とSAS(startling acoustic stimulus、驚愕的音響刺激)である。 実験方法は、次の様だ。 (但し、ランプの色は、私の独断)

 

① 視覚キューとして、赤と緑のランプのある信号を準備する。

② 赤が点灯(Pre-Cue)後の3,500ms(3.5秒)後に赤が緑に変わる(Go-Cue)ので、このタイミングでステップする・・と被験者に教える。

③ Go-Cueの0,100,250,500,1000,1500ms前に、SASを出す。

④ 被験者のEMG(筋電位)、CoP(Center of Pressure)、GRF(Ground Reaction Force)を測定する。

 

ここで、被験者としてPD患者8名(抗PD薬を中止)と、性別・年齢のマッチした対照者7名について、実験を行った。 その結果、次の事が分かった。

 

・ SASは、患者群・対照群共にほぼ同じ様にAPAsを惹起した。

・ しかし、EMGのピーク・GRF・垂直方向のCoPが、患者群で減少していた。

・ 0msでSASにより惹起したAPAsは対照群と一致し、自発的なステップ時と比較して強化されていた。

 

つまり、PD患者は歩行開始のための期待されたキューに先行させて適切なAPAsを準備する事が出来るが、準備されたAPAsはスケールが小さなものだった・・と、結論付けている。

 

換言すれば、実験結果から、PD患者は歩行開始のためのAPAを準備し、計画する能力を有している事は明らかなとなった。 この事は、自発的歩行開始時や、やがて発せられるGo-Cueのタイミングに留意すれば、外部キューはPD患者のすくみ足を非常に有効に改善できる・・と言うことを示している。

 

ではその歩行状態の変調を補整するには?

 

友人は、

 

「意識により、意識下の自分を調節するのは困難だと思いますが、方法がないわけではありません。 APAあるいは類似の現象を意図的に利用することです。 その一つが、Alexander Techniqueです。 (中略) 頸筋の緊張が姿勢反射を起こすことがわかっていますので、歩行開始を実行する際に、一見無関係な随意運動を起こすのです。」

 

と、夢を語ってくれた。

 

折角の友人の提案を、「夢」と断言するのは、冷たいんじゃない? ・・と思われた方もいらっしゃった事だろう。 でも、先の論文の著者は

 

   「Neck muscle activation by acoustic stimulation

 

というパラグラフを設けて、試した結果を次の様に述べている。

 

   「SASで惹起したAPAと頚筋活動パターンの間の関係には、明確な、または一貫したパターンは無かった」

 

と。 残念!!!