リハビリ294―すくんでしまった
12月下旬の今日は、リハビリの予約日だ。 妻の運転で、いつもの総合病院に着き、妻は私をリハビリテーション科の近くの入り口で降ろし、車を駐車場に置きに行った。 その間、私は一人でリハビリテーション科に向かった。
しかし、今日は余り調子良くない。 足が思う様に出ないのだ。 つまり、前傾になり「オトット・・」となってしまうのである。 いわゆる「すくみ足」だ。 まぁ、自分でそれが分かっているので転倒する事はないが、周囲から見ると「ヒヤッ!」とするらしい。 こんな日に限って、杖を家に置いてきてしまった。
何とかリハビリテーション科のリハビリ室までたどり着いたが、入り口で受付の女性がいる・・と思うだけで緊張して、足がすくんでしまった。 勿論、転ばない様に待合室の椅子の背もたれに掴まった。 その時、待っている患者はいなかったので、椅子が軽く、40cm程ずれてしまった。
それを見ていたのか音を聞いたのか、女性の理学療法士が
「大丈夫ですか?」
と寄って来た。 勿論、自分ではいつもの事なので大丈夫な旨を答えたが、彼女は私が予診室の待合用のパイプ椅子に座るまで、支えてくれた。 そしてこう訊いた。
「担当(の理学療法士)は、誰ですか?」
そこで、私が、
「Iさんです」
と答えたが、一度では聞き取れなかったらしく、小さく小首を傾けた。 私が再回答すると、
「あぁ、Iクンね!」
と「クン付け」で呼んだ。 きっと彼女の方が先輩なのだろうか・・
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続いて、いつものM医師による予診が終わり、待合室の椅子に腰掛けて待っていると、I士が声を掛けて来て、リハビリが始まった。 すると彼は開口一番、こう言った。
「どうですか、余り調子は良くないですか?」
きっと、先程の女性がI士に伝えてくれたのだろう。 そこで、私が
「えぇ・・」
と答えると、I士は小声で
「日内変動もありますし・・」
と、独り言を言いながら、本日の理学療法を始めた。