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パーキンソン病/症候群の闘病記です。 同病の方々のご参考になれば幸いです。

idやURLのPSPとはパーキンソン症候群の中の進行性核上性麻痺、PAGFとはPSPの非典型例である純粋無動症の事です。

救急搬送―2

搬送先の病院は「掛かりつけが良い」と言う事で、普段から診察やリハビリでお世話になっている総合病院を第一候補としたらしく、聴取していた隊員が病院に電話を入れていた。

 

そして、受け入れが決まったらしく、私の搬出に取り掛かった。 キャリーマット・・と言うのだろうか、細長いボート状のシッカリした素材のビニールの両側に、計6個の持ち手が付いている。 でも、片側に3つ付いていて、どうやって3人で持ち上げるんだろう・・と思っていたら、1人が私の頭の上に立ち頭の両側の持ち手を握って持ち上げた。 残りの2人は私の下半身に位置し、2個ずつの持ち手を持って持ち上げた。 すると私は、椅子に座ったまま後方に倒れた格好になった。

 

成る程、巧い事を考えたものだ。 でも、このツールのまま救急車に乗れるのだろうか?

 

と思ったら、隊員達は玄関で靴を履き、そこに置いておいたストレッチャーに私を移して、ストレッチャーの高さを上げた。 成る程、家の内外でこうやって搬送ツールを使い分けるんだぁ・・ と感心している間に、ストレッチャーは救急車の後方に回り、ガシャという音と共に台車が折り畳まれて、私は車上の人となった。

 

救急車は私と付き添いの長女を連れて、出発した。 妻は隊員の指示通り私の靴を持って、プリウスで後を追うと言っていた。

 

   ――――――――――――――――

 

救急車の窓にはカーテンが掛けられているので、どの道を通っているのか、そして今どの辺を走っているのかは、全く分からない。 車内には指先のプローブからの信号でモニターが発する「ピッ、ピッ」と言う、心拍に同期したパルス音がするだけである。

 

   「(これで診て貰える)」

 

と思うだけでも痛みは軽減して来る感すらある。事実この頃には、ピーク時の痛みを10とすると、6位になっている。

 

やがて救急車が停止しバックしたので、総合病院に到着した事が分かった。 白衣を纏った若い男性が寄ってきて、病院に入ろうとしているストレッチャーの脇で並走しながら、私に矢継ぎ早に質問した。 

 

   「お名前は、言えますか?」

 

   「○○××です」

 

   「ここはどこだか、分かりますか?」

 

   「△△総合病院です」

 

と答えたら、「意識著明」と思ったのか、それ以上はその場では訊かなかった。 まさか、

 

   「もう天国に着いたんですか?」

 

とも、返せなかった。 そして、自力で診察台に移り、私は俎板の上の鯉となった。