診察201511―2
続いて、前記(2)で私が体験した不思議な現象に対して、私なりの意見を書いた。
(3) 自動車の運転や自転車での輪行について
⑩ 症状として、歩行障害や姿勢保持障害が強いが、それ以外の運動症状はほとんどない。
・ 例:自動車の運転や自転車での輪行は、後者。
・ 理由の推論:歩行や姿勢保持は、脊髄反射の上位として「大脳皮質―基底核」のループにより、それ以外(運転や輪行)は、「大脳皮質―小脳」のループにより、コントロールされているから。
・ その論拠として、歩行や姿勢制御等の生得的な運動には基底核が大きな役割を持っているから。 (高草木薫、臨床神経,49:325-334,2009) (但し、ヒトに於いては2足歩行は生得的でなく、要訓練。)
(http://www.neurology-jp.org/Journal/public_pdf/049060325.pdf)
⑪ 実例として、歩行障害の酷いパーキンソン病患者が受診の際に医師と論議になり、病院の駐車場を自転車でスイスイ走って見せている動画がある。
(https://www.youtube.com/watch?v=aaY3gz5tJSk)
⑫ 結論:PSP-PAGFにおいては歩行障害と運転・輪行能力とは、別もの。(「PSP-PAGFと運転能力」の論文は無かった。 cf:「パーキンソン病と運転能力」
(http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC2077772/)
(4) 歩行用キューとして、視覚キューより聴覚キューの方が効果的?
⑬ これまですくみ足対策として、視覚キュー(杖の最下部に目印を付ける)を用いたが、止めてしまった。
⑭ そこで下記推奨に従って、「Listenmee」を真似てみた。
(https://www.youtube.com/watch?v=zzTJYoLSN_o)
・ 聴覚キューとして小型ボイスレコーダーに行進曲や懐メロを転送し、速度を変えて再生した。 前者では、再生速度が90-85%の時、上手く調歩(=同期)した。 後者では、歌詞を口ずさむと効果的。
・ 現在は「Listenmee」と言うAndroid及びiPhone対応のSmart Phone Applicationになっている。
(https://play.google.com/store/apps/details?id=com.brainmee.listenmee&hl=ja)
⑮ 結論:調歩の目的には、視覚キューより聴覚キューの方が効果的であった。 この時、内部発生キューを同期させる(例:口ずさむ)と一層効果的である。
S医師は、結構時間を掛けて読んでいた。 そして、小さく「クスッ」と笑った。
その笑いの意味は不明である。 しかし、推量するに、「オオ、色々と頑張ってるじゃないですか!」と評価と応援の意味だと、勝手に解釈しよう。