株式の現金化―14
2014年、11月中旬、裁判の日がやってきた。
( http://psp-pagf.hatenablog.jp/entry/2014/11/05/065213 の続きです。)
今回は、原告・被告の双方が具体的な金額を提示する予定である。
さて、弁論準備室に原告・被告が揃い、起立して裁判官を迎えた。 裁判官は開口一番、
「じゃあ、(和解条件を、原告・被告の)どちらから訊きましょうか?」
と言い、双方がどちらでもよい・・旨を言ったが、被告の条件から訊く事になった。 そこで一旦原告側は退席した。 数分後に原告と被告が入れ替わり、原告側が希望買取り額を、裁判官に伝えた。 そんな入れ替りがもう一度あり、その後、再び三者が揃った。
先ず、裁判官が被告の提示額を原告に披露した。 それを聴いた原告代理人は、我が耳を疑った。 そして被告代理人に向かって
「それって・・ (被告は)原告が所有する全株式の所有権を認めるって事ですか?」
と、確認した。 しかしその質問に、被告代理人は答えないばかりか、シカトした。 まぁ、プライドもあるのだろうから、目も合わせたくないのは想像に難くない。
つまり、事実上の勝訴である。 残る問題は、株の買取り価格だけとなった。
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原告側の腹積もりは、3年前の相続税評価額であるが、先に被告側が同じ事を言った。
「純資産方式だと、A円になるけど、そんなには払えない。 まぁ、相続税評価額B円なら、何とか・・」
「じゃぁ、キリのいい所で、C円ではどうですか?」
「えぇ、それでも・・」
という具合である。 (A>C>B)
株式の所有権と売却金額が決まれば、残る課題は各買取り人への分配割合と支払い期日である。 前者が重要なのは、被告(会社)は持ち株数(自社株数)の制限があるので、万が一にも制限を越えて、折角の和解が無効となってはつまらないからである。
それらについては被告側の問題なので、もう一回、開催する事し、次回を12月上旬として閉廷となった。
これで和解が成立し和解調書が作成されれば、万が一代金が支払われなくても、強制執行での取り立ても可能となる。
余りにもアッサリとした幕切れに、何か、力が抜けてしまった感すら残った。