パーキンソン病/症候群の闘病記です。 同病の方々のご参考になれば幸いです。

idやURLのPSPとはパーキンソン症候群の中の進行性核上性麻痺、PAGFとはPSPの非典型例である純粋無動症の事です。

リハビリ219―ピンチヒッターは、S士

10月中旬の某日は、リハビリの日だ。 担当のF士が不在(休暇? 出張?)なので、S士に交替すると聞いていた。 M医師の予診後椅子に腰掛けて待っていると、名札を示しながらSと言うメガネの男性が声を掛けてきた。

 

ん? 確か作業療法士のSさん(女性)と、同じ苗字??? 偶然か、それとも、夫婦なのだろうか?

 

否、イニシャルは同じでも、苗字は違った。 

 

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早速、空いている台を探し、マッサージに入った。 歩行障害が主訴なので、これまでの理学療法士は、下半身のマッサージ(誤解の無き様)から始めていた。 しかしS士は、上半身から念入りに始めた。

 

そして私が歩行する様子を観察し、彼は私の両肩に両手を乗せた。 そして自分の体重を掛けたのである。 彼の目的は、私の重心を正しい位置に持ってくる事だ。 つまり、荷重を掛ける事により、私のつま先立ち(=前傾姿勢=突進傾向)を無くそうと言うものである。 

 

そしてその状態で壁まで歩かせて、壁の上方に両手をつかせた。 この時、私の足は壁から30cm程離れていた。 その状態で、顔や上半身を壁に近づけさせた。 これにより、私の上半身、特に肩甲骨のあたりが反り返る事になる。 

 

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段々とS士の意図する所が分かって来た。 彼は、歩行の姿勢にリハビリの目標を置いている・・と考えれば、彼の施術を理解する事ができる。 例えば、肩のマッサージ。 これは肩関節の固縮を防ぎ、その可動域を広げる事よりも、歩行時の自然なバランスを得るため、即ち腕の振りを改善するためと考えると、同じ肩のマッサージでも、合点が行く。

 

それは、彼のこんな言葉に集約されている。

 

   「自分の体の重心が今どこにあるかを考え、それを自分の足の中心に置く様にするんです。」

 

まぁ、それが出来れば病気じゃない。 できないからこそ、こうしてリハビリに通っているのだ。

 

と、言い訳をしてはならない。