障害年金―5
落ち着いた様子の私に、パラパラと人が減り、O士が残った。 そう、誰かが呼んで来たのである。 私が事情を説明したら、別に気にも止めない様子だ。 M医師の予診を終えたら指定の席に呼ばれ、計測が始まった。
計測を分類すると、四つになるだろうか?
① 長さの計測
② 角度の計測 (例えば、関節の屈曲度)
③ 筋力の計測
④ 時間の計測 (例えば、片足立ち)
長さは定規かメジャーで測定する。 角度はその定規に付いた分度器で測定するが、「深くお辞儀をして下さい」と、上半身全体の屈曲度を理学療法士が半定量的に評価・判定する方法もあった。
筋力の測定法には、二つある。
① 専用の測定器を用いる
② 自分の手で押さえ、抵抗力を診る
前者の例は、握力計である。 右39kg、左31kgだった。 後者は理学療法士が、
「私がこう押しますから、私と力比べをしましょう。 せーのっ!」
と合図をする。 ほとんどの項目で5段階中5だったが、4が若干あった。
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続いて作業療法士による計測である。 S嬢と言う小柄な女性を紹介された。 髪はおかっぱでカワイイ感じだ。
指の関節の屈曲度を専用のツールで測定して貰っていると、O士が通りかかり、ニヤニヤしながら
「ねぇ、○○さん。 いくらSさんが可愛いからって、(担当を)乗り換えちゃダメですよ?」
と、チャチャを入れてきた。
「いや、私は公正で公平な観点から・・」
「ヘェー、公正で公平・・ねぇ・」
「それとも、ヨダレでも出ています?」
と言いながら、私が右手で口を拭う真似をすると、O士はテーブル上のタオルを私の口に宛てがう真似をした。 それを受けて私がそのタオルを持ち、わざと
「ジュルッ」
と唾液を吸う音をたてると、大ウケとなった。 しかし、S嬢は
「全くぅ・・ Oさんったら・・」
と冷静に呟いた。 不評だった様である。