パーキンソン病/症候群の闘病記です。 同病の方々のご参考になれば幸いです。

idやURLのPSPとはパーキンソン症候群の中の進行性核上性麻痺、PAGFとはPSPの非典型例である純粋無動症の事です。

晴雲酒造・玉井屋 (続)


主菜が来るまで、サービスの食前酒で前菜を戴いた。 前菜はどれも品の良い薄味で、ついお代わりをしてしまった。 食前酒は「無為」と言う名の、吟醸酒だ。 その優しい口当たりは、決して料理の味を損なわない・・

 

そして、漸く届いたポーク味噌漬けをナイフで切り分け、その一片を口に運んで驚いた。

 

白味噌に酒粕を加えて醸し出される、ほんのりした香りに包まれた、柔らかいロースなのである。 スーパーで売られている豚肉の味噌漬けでは、良く濃い調味料味やスパイスで獣臭をごまかしているのもあるが、この肉では、そんな必要はない。 しかの白味噌も酒粕も、自らが「引き立て役」である事を心得ているのである。

 

かといって、それらが無ければただの豚肉に成り下がってしまう。

 

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やがて、主食であるとろろご飯が運ばれてきた。 出汁で伸ばした自然薯(じねんじょ)に少しだけムラサキを落とし、固めに炊いた白米に掛ければ、もうこれだけで十分なご馳走だ。 これに赤味噌の汁と漬物も付いているので、盆と正月が一度に来た様な贅沢である。

 

デザートの焼物にも酒粕が使ってあり、和魂洋才ならぬ和材洋食であろうか?

 

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食後に売店で「無為」を購入し、その後、酒蔵を見学した。 途中、「当主が富士山に登ったら、それまで峰を覆っていた雲が退き、その間に間から陽光が漏れ、やがて清々しい空となった。 その時の晴れ晴れとした気分に因んで、『晴雲』と名付けた」とあった。

 

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途中で紙の博物館や吹上のコスモス畑、紅葉の始まりかけた吉見町の八丁湖に寄り、帰路についた。

 

その日の秋の空気にも似た、爽やかな一日となった。