調停―1
話は遡るが、私は相続した土地を売却した。 現在その手続き中であるが、所有権移転登記には「登記識別番号通知書」が必要となる。 それを、相続人代表の身内が渡さないのだ。 その理屈はトンチンカンなのであるが、現実として私の手元にない。
つまり申立人は私、相手方がその身内となる事件である。 調停の申請は約1ヶ月前になる。 因みに、民事調停の申し立ては、私にとって初めてである。 インターネットであれこれ調べ、PDFの見本からExcelで申立申請書を起こした。
その申請書を持って、簡裁の受付に行くと女性書記官がカウンター越しに座り、
「収入印紙と切手はお持ちですか?」
と訊いた。 否定の返事をすると、書記官は内容を見て、収入印紙と予納郵券(切手)の額を書いたメモを渡した。 そこで一旦簡裁を出て近くの郵便局で購入し、それを書記官に渡したら、今度は
「今日は、この(申請書と同じ)印鑑をお持ちですか?」
と言うので、慌てて妻が車まで取りに行った。 その後、調停の申請は無事に受け付けられた。 疑問に思った妻が
「印鑑は、何のために必要だったのですか?」
と突っ込むと、書記官は
「訂正がある場合です」
と答えた。 見るからに素人っぽい人が、明らかに初めての申請なので、訂正があるのが普通なのだろう。 それを知って、少し自信を持った。
こうして、調停は無事に受け付けられ、事件番号と期日の書いてあるA5の紙を渡されたのだった。
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調停当日、カーナビを簡裁にセットし、私の運転で妻と早めに出発した。 そう、妻も一緒である。 調停委員会には予め、「介助人同席許可申請書」を出しておいた。 勿論その様な書式はないので、独自の申請書である。
まぁ、私の歩行の様子を見れば、妻の同席が認められない事はないだろうが、一応の仁義と心証のためである。 そこには、次の様に綴った。