リハビリ122―大きな落花生
と残して、O士は消えた。 戻った時には、大きな黄色いボールと青い円盤を抱えていた。 そのボールは完全な球体ではなく、左右に引っ張った感じである。
「次はこれを使います。」
「落花生みたい(な形)ですね?」
「えぇ、美味しくはないですけど・・」
O士は私の脚を持ち上げ、これを仰向けに寝た私の足の下に敷いた。 そして、ボールを前後に(足で)転がす様に指示した。
「感じとしたら、自分が海苔巻きになって、巻かれる感じです。」
つまり、屈伸運動を寝て行っている事になる。
「これは、ここの運動なんです」
と説明しながら、私の骨盤の辺りを抑えた。 要するに、ごく軽いスクワットだ。 ただ、普通のスクワットを毎日行っている私には、物足りない位である。
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続いてO士は私に台の淵に腰掛ける様に指示し、もう一つのツールである青い円盤を手渡した。 それは直径50cm、厚み10cm程のフワフワした巨大ドラ焼きの形状だ。 バランスの練習なので、私が靴を脱ぎ始めたら、O士が制止した。 そしてそれを私に尻の下に敷いた。
「ではそのまま、上体を左右に動かして見て下さい。」
と言うので、試してみると、
「肩は揺らさないんです、こんな風に・・」
とO士は言いながら、両肩のラインを水平に(極力)保ちながら、上半身を左右に動かした。 私も真似たが、まだ不十分だったらしく、
「ではそのまま両腕を広げて下さい、ソバ屋の出前みたいな感じで・・」
と、手本を見せた。 ただ、私がO士の考えている目標に達したかどうかは、言わなかった。