土地を売る―3
契約場所は、不動産屋のオフィスである。 初めて行く場所なので、カーナビの電話番号で検索したら、自宅から車で20分位らしい。
早めに出発したので15分前には着いたが、既に買主は到着し、テーブルに着席しているのが外からガラス越しに見えた。 買主よりは先に到着しようと、早めに出発したが・・
そこは、新しい綺麗なオフィスである。 片屋根の一階建てで、ワンフロアに男子社員が3人、女子社員が2人いた。 デスクの数から推して、ほぼフルスタッフだろう。
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N氏の案内で着席し、早速、契約の手続きに入った。 先ずは重要事項説明書であるが、N氏が解説を交えて朗読した。 続いて契約書も朗読した。 ミスプリ以外は、両者の納得出来る合理的な内容なので、読み合わせる40〜50分が長く感じられた。
そして、重要事項説明書と契約書に売主・買主が、それぞれ署名(記名)押印した。 更にN氏も押印とページ間に割印し、売主・買主双方に収入印紙への割印を促した。
N氏が上記作業をしている間、買主が手付金を数えて、テーブル上、私の方に差し出した。 私は買主の目前で数え、
「確かに、在りました」
と、一礼したら、買主も軽く一礼した。 領収書を書いて買主に手渡す頃には、書類も完成し、N氏がそれぞれの名前の入ったファイルに綴じてくれた。
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こうして無事に契約が締結されたので、続いてN氏は今後のスケジュールについて、両者に案内した。 それによると、?境界の決定と測量・分筆、?農地法5条の(農地転用許可)申請、?残りの代金の授受、?所有権移転登記などがある。
なぜ、今更、境界の決定を? ・・と思われた読者もいるだろう。 実は、道路(6m幅の市道)沿いの境界杭が見当たらないのである。 つまり、官民民査定が必要となる。 これだけで、1ヶ月は掛かる・・
それに、買主が欲しいのは土地の一部なので、分筆も必要となる。 また、一部にはセットバックもある。
そして来年の春には、この収入の確定申告と納税とをしなければならない。 更に再来年には、市民税が・・