リハビリ103―ミニハードル
「準備しますので、チョット(自分でストレッチを)やってて下さい」
と言い残して、消えた。
2〜3分してO士が戻り、案内された方を見ると、床にミニハードルが並んでいる。 7〜8台はある。 赤く塗られた金属パイプで、高さ10cm、幅60cm程だろうか?
「これを見れば、○○さんなら(目的は)直ぐに分かるでしょうけど、ね?」
って、誰が見ても用途は明白だ。 早速、訓練に入った。
台から降り、靴を履いて、O士の手本通りにミニハードルを渡った。 つまり、右足で一台越えたら左足も追う様に越えて、右足に揃える。 復路は、左右の足の役割を逆にする。
まぁ、特別難しい事もない。 するとO士はハードルの間隔を狭め、右・左・・と片足で一台ずつ越えて見せた。
私はO士の真似をして、往復した。 まぁ、足がハードルに当たらない様、つい下を見て歩いてしまうが、これも別に難しい事ではない。
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今度は、ミニハードルを渡ったら、そのまま抜けて室内を歩いてみよ・・と言う。 そこで、そんな訓練を何往復か行なった。 するとハードルを終えて数歩は、足を挙げる癖が付いているのだろう、歩き易いのである。 しかし、その後は元に戻ってしまう。
すると、O士が私の歩行の様子を、全く同じように評価した。 見ていて分かるのだろうか? ・・と思える程、私の自覚した内容だった。 私は、思った。
「(ナホルド、これが訓練の意義なんだ。 練習により良い癖を習得し、それを継続する。 それが日常生活の中でできれば、訓練の目的を達した事になるんだ。)」
と。 でもそれは当然のことであり、「今更ながら」とは思うかも知れない。 しかし、最終診察日にI医師の言った言葉の意味を再確認できた気がした。
「そうねぇ・・ (自分が担当した)この2年間で、一番効果があったのは、リハビリかしら?」