リハビリ97―ストレッチポール
「杖を使う練習じゃないんです。 こう持って・・」
と、使い方の説明をした。 先ずは体の正面で杖を水平にし、肩幅に持つ。 それを上下するのであるが、前に屈んだ時は思いっきり猫背になり、持ち上げた時は鉄棒にぶら下がっている様に思いっきり伸ばす。 事実、真上に挙げたら、O士は杖を引き上げた。 ここまで目一杯伸ばすのである。
この動作を数回繰り返した後、O士は部屋の隅から、ストレッチポールとカマボコを持ってきた。 カマボコとは、長さ40cm、幅15cm程の断面が半円の円柱である。 竹踏みの竹を想像してもらえば良い。
(ストレッチポールなら、使った事があるゾ)
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と思ったが、使い方が違った。
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私を台に腰掛けさせて、O士はポールを立てて手渡した。 そして伸ばした腕に持たせ、そのままポールを前方に倒しながら、上半身を前に倒させた。 なるほど、これには2つの効果がある。
一つは背筋を伸ばす事である。 ポールに置いた両腕を前方に伸ばしたまま前傾すれば、当然、背筋が伸びる。 これを目一杯倒すのである。 そして上体を戻す時は、猫背になるまで後退するのである。
もう一つは、スクワットである。 つまり、上体を倒した時に鼠径部を折り曲げる効果をもたらす。 この時の姿勢は、今から洋式トイレの便座に腰掛けようと、お尻を突き出している。
そして、同じ動作を、尻の下にカマボコを敷いて行った。 確かに負荷は増すが、「どう」と言う程の事もない。
そして、この運動を繰り返して、室内歩行をし、効果を確認するのである。
「どうですか、先程のゴムバンドの時と比べて、歩きやすさは?」
とO士が訊くので、正直に
「ゴムバンドの時です」
と答えたら、チョッピリと落胆されてしまった。