リハビリ89―調理実習
リハビリ室に向かって院内を歩くと、どうも調子悪い・・ そうだ、今朝、薬を飲み忘れている!(滝汗) 予診のM医師にも、その事を告げた。
「どうですか、調子の方は変わりないですか?」
「はい。 でも朝、薬を飲み忘れてしまって・・」
すると、M医師はモニターに向かって、キーボードから入力し始めた。 これだけの会話で、良くあれだけの情報量を・・と思える程、カチャカチャと打っていた。
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予約より5分遅れでリハビリが始まったが、リハビリ室はガラガラである。 後で担当のY士に訊いたら、12時になると入院患者が食事に戻るため・・と言う。 台は使い放題だ。
そこで、Y士が適当な台を見繕い、下肢のマッサージから始めた。 すると、料理の匂いが漂って来るではないか! 私は給食室が近くにあるのかと思ったが、違った。
「何か、イイ匂いがしてきましたねぇ・・」
「今日は調理実習をやっているんです。」
退院してこれから独り暮らしをするのだろうか? それとも、特別な調理器具(ユニバーサルデザイン)を使う練習なのだろうか? いずれにしても、美味しそうな匂いだ。
「うーん、これは肉ジャガかすき焼きですね?」
とY士が続けた。
「でも、作ったものは、全部捨てちゃうんです。」
「えぇーっ? 勿体無い・・」
「でも調理に使う野菜なんかは、スーパーで買ってきたもので、殺菌してないので、何かあったら・・」
「丁度今頃(の時間帯)だと、(空腹なので)集中できないですよね?」
「でも、俺たち職員が食うなら、イイんじゃないかなぁ・・」
と、Y士は調理品の廃棄に、拘っていた。 でも、退院して自分で購入する食材は、多方、スーパーで買うのに、矛盾している。 結局は、「調理」の実習の評価に、「美味しくできた」と言う項目が無いからなのだろう。