診察201210−3
I医師は、専用のモニターに、前回撮影した画像を次々と映し出した。 水平断面や垂直断面のみでなく、MRA(Angiography=血管の描出)もあった。
「う〜ん、特に(微小梗塞痕など)何もないわねぇ・・ 動脈瘤もないし・・」
と言いながら、3DのMRA像を回転させて見せてくれた。
そして、前回できなかった、過去の撮像との比較を試みた。 が、矢張りできない。
「ねぇ、画像の比較って、どうやるのかしら?」
と、I医師は居合わせた看護師に尋ねたが、シカトされてしまった。 まぁ、普段から画像診断をする事のない看護師も、訊かれたくなかったのだろう。 でも、去年も同じ事を言っていたので、私は思わず、
「整形外科ではレントゲン(像)を、並べて見せてくれましたよ。 こっちが一週間前の、こっちが今回の・・と」
と、つい、ツッコミを入れてしまったら、
「機械によって、(操作方法が)違うのよねぇ・・」
と、I医師は呟いた。 常勤ではないので、慣れていないのは仕方ない。 それでも、何とか比較画像を出した。 根性である!
一年前と比較し、特別な変化もなく、病的な間隙もなかった。 まぁ、器質的な問題もなく、私もI医師も、そして妻も一安心である。 脳が萎縮する疾病(多系統萎縮症など)の可能性は、(少なくとも現段階では)なさそうだからである。