診察201205-3
「この(メモにある)脱力感って、どんな感じですか?」
「ええと・・ 力がはいんない・・と言うか、充実感に乏しい・・と言うか・・」
「・・ 難しいのねぇ!」
更に、質問は続いた。
「これ(=ワープロで書いたメモの事)は、○○さんご自身で打ったのですか?」
「ええ。 昔は(入力が)もっと速かったんですけどねぇ・・」
と言いながら、指でキーボードを打つまねをした。
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そんなやり取り(=問診)を終えると、I医師は診察に入った。
先ずは、私の両手を握り、前へ出させた。 「前へー、倣えっ!」の格好だ。 そして自らの手を離し、次に目を瞑らせた。 振戦の有無を調べているのであろうが、自己評価では、振戦は皆無である。
続いてI医師は、私の左右の肘と手首を廻してみた。 パーキンソン病に特有となる関節の歯車様固縮の有無を診ているのだ。 これは直ぐに終わったが、続く眼振のテストは長かった。 ペンライトを私の顔の前にかさし、
「この先を、目だけで追って下さい」
と言いつつ、ペンライトをゆっくりと上下左右に吸う往復させた。 その慎重さに、私は何かを感じた。
最後は、歩行テストである。 例によって、I医師は診察室内の隅に立ち、私が室内を歩く様子を、背後から観察した。