診察201202-2
「あららーー・・・」
と、笑顔で迎えてくれた。 I医師も、どんな反応を示したら良いのか、困っていたのかも知れない。
「どうしちゃったの?」
「先生、やってしまいました」
と言いながら、私は転倒事故の経緯を書いたメモを渡した。 妻が、
「(転倒事故の事が、別の診療科でも)分かるんですか?」
と訊ねたら、
「(モニターに)最新のカルテが、表示される様になっているの」
と言いつつ、少し仰け反って、画面を私たちに見える様にした。
「これを見て、ビックリしちゃったの・・」
と、今度は私のメモで確認し始めた。 メモには原因について、こう書いておいた。
原因:
・ 肩からカバンを提げ、右手に弁当とノートパソコンの入ったトートバッグ、左手に書類の入った重い袋を持ち、バランスが悪かった。
I医師は、
「肩から斜め掛けしたカバンを背中の方に提げていて、何かの拍子に(カバンが)前に来ると、それだけでバランスを失っちゃう事もあるのよ」
と、教えてくれた。 読み終わった頃を見計らって、少しおどけながら、
「先生、本当に『やっちまったぜー』ですよねぇ・・」
と私が言うと、I医師は失笑してしまった。 「やっちまったぜー」がウケた様だ。
「ゴメンナサイ、私ってオーバーリアクションなの」
と弁解したが、私は全く気にしていなかった。