パーキンソン病/症候群の闘病記です。 同病の方々のご参考になれば幸いです。

idやURLのPSPとはパーキンソン症候群の中の進行性核上性麻痺、PAGFとはPSPの非典型例である純粋無動症の事です。

転倒事故4−救急外来にて

ストレッチャーが救急車がら出されると、白衣を着た体格の良い、浅黒い男性が寄ってきて、私に声をかけた。 医師らしい。 良く聞き取れなかった私は、

 

   「ハイ?」

 

と、聞き返した。 今度は聞こえたが、やはり訛りがあった。 良く見ると、日本人ではなかった。 名札もカタカナだ。 だとしたら、凄い事である。 日本語を学び、日本の医師国家試験を通ったのだろうから・・・ 聞き落としや聞き間違えの許されない世界、正確なコミュニケーションが要求される世界、専門用語の飛び交う世界で。

 

彼は私の両手を取り、

 

   「私の手を握って下さい」

 

と言った。 私が彼の手を握ると、

 

   「もっと、強く」

 

と言うので、今度はギュッと握った。 左右の強度を比較し、損傷した側である左手の麻痺の有無を調べたのだろう。 額の出血は、救急車に乗る前から止まっていたので、絆創膏が貼ってあるのを見て、傷の痛みの有無も訊いた。

 

その後、私が車椅子に移された時、妻と再会した。 看護師が妻にクリアーファイルを渡し、

 

   「放射線科に行って、これでレントゲンとCTを撮ってきて下さい」

 

と言い、場所の案内を始めた。 つまり、付き添いがいるので、セルフサービス(?)である。 以前、CTを撮影した事があるので、妻にも私にも場所は明らかだ。 妻は車椅子を押し放射線科の受付に行き、無事に脳のCT像と、肩と腰のX線像が撮れた。 

 

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救急外来に戻ると、額の傷の処置に移った。 先程の外国人医師ではなく、もう一人、若い医師がいて、デスクに向かってカルテ(?)を見ていた。 若い医師は、私の方を振り向くなり

 

   「渡辺さん・・ ですよね?」

 

と訊いた。 オイオイ・・

 

   「え? 私は○○ですけど・・」

 

と答えたら、その医師は気まずそうに再びデスクに向かい、無言となった。 後で名札を見たら「研修医」とあった。 きっと後期臨床研修中なのであろう。 そう言えば、この総合病院は、研修生でも給料が良い・・・と言う噂を聞いた事があった。