転倒事故3−救急搬送
「15分程で、着きますからねぇ」
と、隊員が私に話しかけたとほぼ同時に、救急車はサイレンを鳴らしながら、会社を後にした。 荷物は会社の人が妻にもたせてくれた事を、後で知った。
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こうして私と付き添いの妻をのせた救急車は、総合病院へと向かった。 ただ、車の窓にはカーテンがあるので、今、どの辺を走っているのかは、窺い知れない。 時折、
「救急車が通ります」
と言う放送が車内にも聞こえるのみである。
スピードを出しているせいか、乗り心地は決して決して良くはない。 そして走行中に、時折、モニターがアラーム音を出す。 すると隊員は、ボタンを押してアラームを停止する。 そして、指にかねたプローブを付け直す事もある。
「脳波が弱くなっています」
と言う警告もあった。 妻は心配して、
「あのう・・ 脳波の警告が出ていますけど、大丈夫なんでしょうか?」
と、隊員に訊ねた。 隊員は、
「ああ、大丈夫ですよ!」
と、明るく答えた。 脳波はモニタリングしていないので、私は何とも思っていない。 じゃあ、なぜ?
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隊員は、走行中も受け入れ側の総合病院の救急科と連絡を取り、患者である私の様子を報告していた。 そうこうしている間に、総合病院に着いたらしい。 車が止まり、隊員が車を降りたら、急に周囲が慌しくなった。
この病院には脳神経内科や消化器科に数年通院しているが、救急車が来ていたり、患者が院内を搬送されたりしているのを見たことがある。 でもまさか、自分が・・