パーキンソン病/症候群の闘病記です。 同病の方々のご参考になれば幸いです。

idやURLのPSPとはパーキンソン症候群の中の進行性核上性麻痺、PAGFとはPSPの非典型例である純粋無動症の事です。

妻の手術−12 (テタニーが現れる)

こうして、妻の甲状腺癌摘出手術は、無事に終了した。 後は恢復を待つばかり・・と思えた。 しかし、道のりはそう平坦ではなかった。 副甲状腺摘出の弊害が、殊の外強く出たのであった。

 

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既述ではあるが、復習してみよう。

 

甲状腺を全摘出すると、4つの副甲状腺も同時に摘出されてしまう。 副甲状腺は甲状腺とは独立した臓器であり、上皮小体とも呼ばれる。 副甲状腺は血中のカルシウムイオンを上昇させる上皮小体ホルモンを分泌しているので、摘出により失われると低カルシウム血症を起こす。 これを防ぐため、甲状腺と一緒に摘出された副甲状腺を、自家移植する。

 

所が移植された副甲状腺が機能を回復するまでに数週間ほどかかるので、その間、カルシウム製剤を(吸収促進剤と共に)服用しなければならない。

 

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妻の場合は、この低カルシウム血症が強く出た。 一般的な自覚症状は手足の異常感覚(チクチク感や痺れ)であるが、痺れを越してテタニー(麻痺と拘縮)まで起こしてしまった。 手首が動かないのである。 

 

妻の訴えを聞いた看護士は、急遽、担当のW医師をページャーで呼び出し、その指示の下に血液検査を実施した。 そして低カルシウム血症である事を確認してから、カルシウムの輸液を点滴した。 そうしたら点滴開始30分程で、症状は寛解した。 

 

実はこの症状がもう一回、真夜中にも出たのである。 勿論入院中なので検査も点滴の処置も早いが、もしそうでなかったら・・ 低カルシウム血症による除脈や房室ブロックでも起こしたら、致命的ですらある。

 

そのため、乳酸カルシウムの服用量が2g×3回/日から、3g×3回/日に増やされた。

 

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術後、2日で首のガーゼが取れ、傷(=手術の切開痕)が剥き出しとなった。 肌色で半透明のサージカルテープで止めてあるのみだ。 それは10cm強の半月形であり、他の首の皺と同心円である。 

 

しかし、縫い目が無い!?!

 

聞けば、手術による切開部は、内側で縫合してあると言う。 しかも、抜糸の必要ないコラーゲンの糸を使っていると言う。 表皮はサージカルテープで止めてあるだけだ。 いずれ、傷か皺かの区別ができなくなる様だ。

 

素晴らしい手技である!!!