パーキンソン病/症候群の闘病記です。 同病の方々のご参考になれば幸いです。

idやURLのPSPとはパーキンソン症候群の中の進行性核上性麻痺、PAGFとはPSPの非典型例である純粋無動症の事です。

妻の手術−10 (示説室にて)

 午後340分、看護士がディルームで待機している家族と身内を呼びに来た。 手術が終了したのである。 手術の余りの遅れに皆が不安を持ち、重い空気のままその看護士の案内で、手術室に隣接する示説室へと向かった。 手術の説明(内容、経過、結果)を聞くためだ。

 

示説室は、6畳位の小さな部屋だった。 机と椅子、そしてボードがあるのみである。 待っていると、看護士が手術室側のドアを開け、患者の氏名を尋ねた。 示説室が複数あるので、確認のためだろう。

 

暫くすると、再度扉が開き、手術着のW医師が出てきた。 手には赤い肉片を入れた透明なプラスチック容器を持っている。 これこそが、摘出された妻の甲状腺に違いない。

 

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W医師の説明は、詳細なものだった。 私以外は初めて聞く話なので、皆、聞き入っていた。 その中から要点を抜粋すると、次の様になるだろう。

 

?       甲状腺は、全て摘出した。 但し、癒着があったので、手術に時間が掛かった。

?       反回神経は、温存されている。 術後、麻酔科の医師が、患者の鼻からファイバースコープを入れて、(声帯の動きを)確認している。

?       副甲状腺は、甲状腺から剥離後、顕微鏡の先生(専門医)に見て貰って(=副甲状腺である事を確認して)から移植した。

 

今後、摘出臓器(甲状腺と郭清したリンパ節)は、病理検査に廻すと言う。 術前の説明では甲状腺とは、色の濃い、蝶型で薄べったい臓器と言われたが、見ると45cmほどの真紅の肉塊である。

 

色々とあったが、手術そのものは大成功と見て良さそうだ。 大きな安堵の空気が、室内を流れた。

 

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W医師による説明が終わり皆は示説室を後にして、再びディルームで待機した。 患者の帰りを待つためである。

 

手術を終えた妻が、いよいよ帰ってくるのである!