パーキンソン病/症候群の闘病記です。 同病の方々のご参考になれば幸いです。

idやURLのPSPとはパーキンソン症候群の中の進行性核上性麻痺、PAGFとはPSPの非典型例である純粋無動症の事です。

妻の手術−7 (反回神経と副甲状腺の問題)

では、甲状腺全摘出手術のポイントとなる反回神経副甲状腺とは?

 

反回神経とは、声帯を支配する神経である。 この細い神経が、左右の甲状腺の裏側を気管に沿って走行している。 甲状腺を摘出する時にこの神経を損傷してしまうと、声が出なくなる。 そればかりか、声帯が閉じたままとなってしまうので、呼吸ができなくなってしまうのである。

 

この場合は気管に穴を開けるしかない。 神経は再生しないので、一生、その管から呼吸をしなければならないのである。 これはQOLを脅かす、大きなリスクである。

 

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副甲状腺とは、左右の甲状腺の上下に貼り付いた、米粒ほどの大きさの臓器である。 「副」と命名されているが、甲状腺とは独立した臓器であり、「上皮小体」とも呼ばれる。 左右の甲状腺のそれぞれ上下にあるので、都合、4つある事になる。

 

では、その副甲状腺は、どんな役割をしているのだろう。

 

副甲状腺は、「上皮小体ホルモン」を分泌している。 このホルモンは、甲状腺ホルモンとは無関係の、独立した役割を有している。 それは、血中のカルシウム濃度を上昇させる事だ。

 

甲状腺を摘出すると、必然的に副甲状腺も摘出されてしまうので、血中カルシウム濃度が下がってしまう。 即ち、低カルシウム血症の発症だ。 そこで、副甲状腺の「自家移植」を行う必要がある。 つまり、甲状腺と一緒に摘出されてしまった副甲状腺を、体内の別の場所―――具体的には肩―――に移植するのである。

 

ただ「移植」と言っても、摘出された副甲状腺を刻んで、肩に注射するだけだ。 移植された副甲状腺は肩で活着し、やがて上皮小体ホルモンを分泌する様になる。 但し、それには数週間を要すると言う。

 

以上は入院前夜のW医師による懇切丁寧な説明のウケウリである。