パーキンソン病/症候群の闘病記です。 同病の方々のご参考になれば幸いです。

idやURLのPSPとはパーキンソン症候群の中の進行性核上性麻痺、PAGFとはPSPの非典型例である純粋無動症の事です。

脳深部刺激療法の不思議

 私は、ずっと不思議でならなかった。 

 

パーキンソン病を罹患し、Dopamine(ドパミン)による黒質から線状体への信号の伝達が上手く行かないのに、「脳深部刺激療法」と言う電気刺激でなぜ症状が緩和するのか? 線状体をやたらと刺激しらた、不随意運動だらけになってしまうのではないか?

 

その答えは、長男の教科書にあった。 私なりに解釈すると、その原理は次の様になる。

 

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線状体では、2種類の化学伝達物質が働いている。 それはDopamine(ドパミン)とAcetylcholine(アセチルコリン)である。 所がパーキンソン病に罹患するとDopamineが減少するので、相対的にAcetylcholineが優位となる。 震顫などの不随意運動の原因は、この過剰なAcetylcholineが原因である。

 

Acetylcholineの役割はシナプスにおける信号の伝達なので、これを受け取った神経は「興奮」する。 神経の「興奮」とは、「脱分極」(後述)に他ならない。 やがて「興奮」が収まると、神経は「再分極」(後述)して、静止状態に戻る。

 

このAcetylcholineの代わりに、もし神経細胞を電気刺激で興奮させたら、どうだろう? 当然、脱分極をする。 そして再分極する前に、次の電気刺激が来たら、どうなるのだろう? 勿論、脱分極をする。 否、脱分極したままだ。

 

脱分極したままでは、神経細胞は信号を伝達する事ができない。 つまり、Acetylcholineの効果(役割)は無くなるので、その結果、過剰のAcetylcholineによる反応(症状)は、抑制されるのである。

 

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と言うのが、私なりの解釈である。 医学的な信憑性は疑問であるが、大きな間違いはないと思う・・ では、神経の「脱分極」とは、どの様な現象なのだろうか?

 

神経細胞の内部は、周囲(外界)と比較して、-70mV位の電位差を維持している。 これは細胞膜にあるイオンチャンネルの働きによる。 具体的には、細胞内では周囲(細胞外)と比較して、ナトリウムイオンの濃度が低い。

 

神経細胞が刺激を受けて「興奮」すると、細胞膜にあるナトリウムチャンネルが開いて、ナトリウムイオンが細胞内に流入する。 その結果、-70mV近くあった電位差は解消されるのである。 これを、「脱分極」と言う。

 

やがてイオンチャンネルは閉じてナトリウムポンプの働きによりナトリウムイオンが神経細胞から排出され、イオンの濃度勾配(=電位差)が生じる。 これこそが「再分極」に他ならない。 再分極した神経細胞は、-70mVほどの電位差を回復する。 これは「興奮」が収まった事を意味する。

 

他にもカリウムイオンや塩素イオンが関与する電位差もあるが、ナトリウムイオンの支配が大きいので、ここでは単純化した。