パーキンソン病/症候群の闘病記です。 同病の方々のご参考になれば幸いです。

idやURLのPSPとはパーキンソン症候群の中の進行性核上性麻痺、PAGFとはPSPの非典型例である純粋無動症の事です。

「悪くなっている?」

妻は心配そうに、T医師に、

 

「(主人の病気は)悪くなっているのでしょうか?」 (妻)

 

と、病の進行度を尋ねた。 こんな時、医師はどう説明するのだろう・・と、興味を持った。 すると、T医師はチョット考えて、こんな風に説明したのである。

 

「悪いと言っても、癌の様に何か悪いものが大きくなるのではないんです。 丁度井戸が枯れる様に・・ そして、枯れるのが(正常人より)少し早いんです」 (T医師)

 

と。 やたらと不安を煽らない、上手な比喩を用いた説明である。

 

後は妻が気になる症状として、

 

「(主人が書く)字が小さいんです。 読めない位・・」 (妻)

 

と伝えたら、T医師はカルテにその旨を記入していた。

 

   ―――――――――――――――――――――――――――――

 

T医師は私が提出した症状の変化を書いたメモについて、

 

「これ(=メモ)は、戴いても宜しいんですか?」 (T医師)

 

と尋ねた。 元々そのためのものなので、私は

 

「勿論です」 (私)

 

と答えた。 カルテを見ると、過去のメモが時系列順に貼ってあった。 T医師は、

 

「これなら、誰が見ても分かりますからね!」 (T医師)

 

と。 妻は、

 

「(主人の)この几帳面さが、病気の原因なんでしょうか? 私の様にチャランポランなら、病気にはならなかったんでしょうか?」 (妻)

 

と、T医師に冗談をかませた。 T医師は苦笑しながら、それは否定し、

 

「それなら私も、奥さんタイプですよ」 (T医師)

 

と、ニコニコしながらフォローしてくれた。 つくづく謙虚な医師である。