ビ・シフロールの処方(続)
パーキンソン病か多系統萎縮症か確定には至らないものの、抗パーキンソン薬の一つであるビ・シフロールによる投薬治療が開始される事となった。 こんな場合の処方量は、どうしたらよいのだろう?
T医師は初回として、0.125mg/錠の1日2錠(=0.25mg/日)を、次回診察日までの5週間分を処方した。
T医師によれば、パーキンソン病の典型例では1.5〜3.5mg/日が処方されるらしい。 今回の処方量は常用量の10分の1であり、最少量だと思われる。 尚、ビ・シフロールには、0.125mg錠と0.5mg錠とがある。
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ただ、薬効の出現までは3週間かかるとも言われた。 また、副作用としての突発睡眠の注意も受けた。 突発睡眠とは、急に眠りに落ちてしまう事である。 徐々に眠くなる傾眠傾向とは、本質的に異なる。
突発睡眠の様子を、T医師が実演してくれた。 机に向かって事務作業をしていて、急に首をガクンと落として見せ、
「こんな感じです」
と。 ハイ、大変よく分かりました。
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病院には「患者憲章」が掲げてあるが、それよりもT医師のポリシーであろうか? キチンと患者に向き合い、どんな質問であっても納得の行くまで、平易な言葉で説明してくれる。 そして、患者と共に病魔と戦う姿勢を見せてくれる。
そればかりではない、先輩や同僚の専門医たちとも相談している様である。 T医師本人は明言していないが、言葉の端はしにそれを感じる事ができる。 つまり、医師自身が治療法のベストセレクションのために、セカンドオピニオンに接している様なのだ。
それらが、私がT医師に信頼を寄せている理由の一つである。
決して変に遠まわしに言ったり、専門用語で煙に巻いたり、隠し立てをしたり、安っぽい同情を示したりはしないのである。 以って、他山の石とすべき。
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歩行障害に加えて疲労感・脱力感のする日常生活を続けていたが、投薬治療で直ぐに改善するものと思っていた。 しかし、薬効の発現まで3週間も待たなければならないのだろうか?
「(長い、長すぎる・・)」
と思った。 しかし、効果を実感するのは、意外と早かったのである。