多系統萎縮症!?!
T医師の診断は、「パーキンソン病ではないであろう」と言う事であった。 では、何の病気なのだろうか?
T医師は、私にこう告げたのである。
「タケイトウイシュクショウかも知れません」
と。
聞きなれない病名であるが、調べたら「多系統萎縮症」の事であった。 これは従来別々だと考えられていた三つの疾患(オリーブ橋小脳萎縮症,線条体黒質変性症,シャイ-ドレーガー症候群)を統合した、比較的新しい概念の疾患である。 つまりそれらの疾患では病変が出現する部位(=症状)に違いがあるものの、病因(病変)は共通しているのである。
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調べると、多系統萎縮症は予後の極めて悪い疾患である。 それを知った時こそが、私が「死」を意識した瞬間でもあった。 症状や予後のイメージとしたら、テレビドラマ「1リットルの涙」や「美丘」の主人公を思い浮かべてもらったらよいかも知れない。 (病名は異なる。)
自覚症状の申告内容や問診で脳神経系の疾患である事が確実であり、MIBGでパーキンソン病が否定され、MRIで小脳萎縮が観察され・・ つまり、線状体黒質変性を主因とし、これに小脳萎縮の加わった多系統萎縮症なのであろう。 歩行障害や姿勢反射障害はそれらによる錐体外路系や小脳の機能低下に起因すると考えられる。 (小脳は、体のバランスを司る。)
では、多系統萎縮症の治療法は?
今の医学では、残念ながら原因療法は存在しない。 ただ出来る事と言えば対症療法で症状を緩和し、できるだけ高いQOLを維持する事くらいである。 それでも発症から平均で6〜7年、長くても精々10年の命・・
それを知って、自分が「自分」である内にやっておかなければならない事が、次々と脳裏に浮かんできた。
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そして診断の結果、薬が処方される事となった。
所が、T医師が処方した薬剤は、これまた意外なものであった。
参考文献 : http://merckmanual.jp/mmpej/sec16/ch208/ch208d.html