パーキンソン病/症候群の闘病記です。 同病の方々のご参考になれば幸いです。

idやURLのPSPとはパーキンソン症候群の中の進行性核上性麻痺、PAGFとはPSPの非典型例である純粋無動症の事です。

リハビリ395―I士の気遣い

 

2017年の10月、今月は5回のリハビリが予定されている。 今日は10月上旬、2回目のリハビリの予約日だ。 そこで妻の運転で総合病院に出掛け、M医師の予診を受けて待っていると、担当のI士が声を掛けて来た。

 

私は、待合用の椅子から立ち上がり、I士と共にリハビリ室に入る予定だった。 しかし、どうも足が上手く出ない・・ 何か、調子悪いのだ。 原因不明。 薬はいつも通り服用しているし、特別、疲労に繋がる様な事もしていない・・

 

そんな私の歩く様子を見て、分かったのだろう。 I士は私をエスコートしながら、リハビリ室に入り、空いている台を探して、私の杖を持って台の下に置いてくれた。 いつもは、私が自分で置いていた。

 

   ――――――――――――――――――――

 

先ずは施術前に、私はI士に右腰が痛い旨を伝えた。 と言うのは、ほぼ5日前に自宅の室内で後方転倒しそうになり、慌てて両手で柱と襖を押さえたが、丁度そこにあったピアノ用の椅子の角に、右尻が当たってしまったのだ。 爾来、COBIX-100と湿布薬のお陰で9割程程治っていたが、念のためである。

  

彼は、右尻に負荷が掛かる様な場合は、必ず

 

   「どうですか、痛く無いですか?」

 

と訊いてくれたし、また、それ以外の時も私の顔を見ていたのが分かった。 唯、現実には痛い事は無かった。

 

   ―――――――――――――――――――――

 

で、彼の今日の仕事は、私の「歩容の改善」である。 彼は、先ずは私に靴を履く様、指示し、左右の足で片足立ちをさせた。 その後、その場での足踏みをしたが、どうも段々と早くなってしまう。 すると、彼は

 

   「一歩一歩、片足立ちする様に」

 

と言った。 そうなのだ、片足立ちはバランスチェックが目的でなく、姿勢保持の予備的な練習のためだったのである。

 

そしてI士の指示を受け、私はそのまま歩き出した。  勿論、彼は私の「背後霊」になって・・ 

 

暫く歩いていると、彼は私に、先ず足を高く上げる様、続いて左右に体を揺らす様、指示した。 例えば、右足を出す時は、体を右に傾けて右足に体重を乗せる。 そして、そのまま体重を乗せたままにする気持ちで、姿勢保持をする。

 

確かに左右に揺れ過ぎると歩容は変になるが、うん、これなら安定して歩ける! まぁ、歩容の改善をする前に、安定歩行である。

 

診察201710―3

 

こうして(1日分の)処方が決定した。 そしてF医師は、

 

   「これで徐々に(トレリーフを600mg/日まで)増やして、この3ヶ月程やってみましょう」

 

と言い、エクセグランのページも示した後、こう説明した。 尚、そのページには抗てんかん薬が並んでいた。

 

   「(抗パーキンソン病薬の)トレリーフと(抗てんかん薬の)エクセグランとは、同じゾニサミドなんです。 そしてエクセグランとして使われる時は、600mg/日まで使えるんです。」

 

   「てんかんパーキンソン病の人がエクセグランを服用したら、パーキンソン病の方も良くなったんですよ」。

 

   http://psp-pagf.hatenablog.jp/entry/2017/09/13/105410

 

つまり、こう言う事だ。 先ずトレリーフとして25mg/日を4週間程、試用する。 そして次の4週間は、50mgに増量する。 更に次の4週間は、エクセグランとして100mg、そして最終的には同600mg/日にする・・と言うものである。

 

うん、確かに薬理学的にはその通りだろう。 しかし、問題は保険適用である。 保険では、トレリーフは50mg/日までしか認められない。 そこで、エクセグランを用いると、600mg/日まで使用可能である。

 

   ―――――――――――――――――

 

但し、エクセグランの効能・効果として、抗パーキンソン病は(保険では)認められていない。 保険適用となるためには、例えば「てんかん」と、診断しなければならない!?!

 

勿論、保険を適用しなければ良いのであるが、割と新しい薬なので薬価も高く、後発品も無い。 しかも、指定難病医療給付の対象にならない。

 

この矛盾を解決するには、どうしたら良いのだろう・・ まぁ、私が「てんかんの症状がある」と言えば良いのだろうが、すると運転免許証の更新が不可能となる(かも知れない)。

 

まぁ、次回診察日・当日の処方を見るとしよう。

 

こうして、次回の診察日を4週間後にお願いして、本日の診察を無事に終え、帰路に・・ 帰路に・・ そうそう、まだ処方薬がまだだ。 そこで、病院近くの薬局に行き、処方箋を出した。 所が結構混んでいて、結局、50分程掛かった。 今日の全行程のなかで、一番待ったのだった。 もし、薬局が近かったら、一旦帰宅したい所である。 事実、番号が呼ばれても、誰もピックアップしない薬袋がいくつもあった。

 

もし、家の近くの薬局で全て揃うなら、直ぐに帰宅出来るのに‥と思ってしまった。

 

診察201710―2

 

F医師は、私が提示したメモの一行・一行に筆記用具の先を当てながら、精読して行った。 とくに、英文の論文タイト部分は、単語一つ・一つにペン先を当て、確認しながら読んでい(る様に見え)た。 私だったら見栄を張り、英文の行に沿ってペン先を素早くなぞるだろうな・・と思った。

 

さて、論文タイトルを読んで、F医師はこんなコメントをした。

 

   「う~ん、確かに30年位前までは、抗うつ薬が使われていた事がありました。 それは、抗うつ薬が、??を活性化する事を期待して・・」(注:??は不明の意味)

 

確かに、論文の出始めは、今からほぼ30年前・・ 以降、使われなくなったのは、これより有効な薬剤が開発される中で、淘汰されて行ったのだろうか? もしそうなら、具体的に進行性核上性麻痺に有効な薬剤とは、一体、何なのか???

 

では、私からの提案(希望処方)を「古い」と決めつけたF医師はどうしたのか?

 

F医師は、別の提案を出して来た。 それは、トレリーフであった。 彼は、

 

   「今までトレリーフは使った事は無ですよね?」

 

と言いながら、彼はモニターで過去の処方を確認した。 そして赤い厚い冊子(処方薬辞典?)のパーキンソン病関連のページを開き、一つの図を示した。 それはドーパミン作動性のシナプス(神経接合部)の拡大図であり、色々な抗パーキンソン病薬の作用部位を模式的に示したものであった。 

 

で、F医師はプレシナプテックナーヴの下にある「トレリーフ」の文字を丸で囲んだ。 そこから、神経細胞のL-DOPAに矢印が伸び、「L-DOPA合成促進」(作用)により、効果を発揮する旨の事が添えてあった。

 

私はその図(トレリーフ作用点)を見て、疑問を持った。 と言うのは、その上にはL-DOPAが書いてあり、過去L-DOPA製剤(マドパー配合錠)を、5錠/日まで増量服用しても無効であり、処方を中止してしまった経緯があったからである。 即ち、進行性核上性麻痺の内、少なくとも純粋無動症にはL-DOPAを増す事に、余り意味は無い・・と考えられるからである。

 

まぁ、臨床上は「試して見なければ分からない」事は、山程あるのだろう。 試用する価値はありそうだ。 それに、ノウリアストの例もあるし・・

 

    ―――――――――――――――――――――――

 

すると、F医師は、

 

   「じゃあ、最初は25mgを1錠にしましょう。 朝? 夜?」

 

と訊いて来た。 勿論、服用時刻の希望を訊いているのである。 朝は既に5種類服薬しているので、私は、

 

   「夜で(お願いします)」

 

と答えた。 更に、彼は、

 

   「セディールは、どうします?」

 

と訊くので、私は不要の旨を答えた。 結局、今回の処方は下記の通りとなった。

 

 

処方(1日当たり)

    薬  剤

   本日まで

 

   本日から

 

プラミペキソール0.125mg

     1  錠   

     1  錠   

ドプス 100mg

     6  錠   

     6  錠   

ノウリアスト 20mg

     2  錠   

     2  錠  

シンメトレル 50mg

     4  錠   

     4  錠  

アムロジピン5mg

     1  錠   

     1  錠  

 

 

   

レリーフ 25mg

     0  錠  

     1  錠   

セディール 10mg    

     1  錠  

     0  錠  

 

 

 

診察201710―1

 

さて、今日はリハビリ後に診察のある日だ。 そこでリハビリ終了後、私は車椅子に乗せられて、脳神経内科に急いだ。 パネルを見ると、ほぼ定刻通り進んでいる様だ。 事実、30分程でパネルに番号が表示された。

 

軽くノックをして扉を開けると、F医師がモニターからこちらに顔と視線を向けた。 軽く挨拶をして、早速、下記のメモを渡した。

 

 

(1)  前回受診(2017年9月〇日)以降の主なイベントについて 

 

  • 9月〇日、〇日、〇日、〇〇駅前の〇〇学園に友人を訪ねる。 (自分で運転)
  • 9月〇日、〇日、芝刈りを行った。 

     http://cdn-ak.f.st-hatena.com/images/fotolife/P/PSP-PAGF/20171010/20171010094440.jpg?1507596561

 

   http://cdn-ak.f.st-hatena.com/images/fotolife/P/PSP-PAGF/20171010/20171010094441.jpg?1507596728

 

  http://cdn-ak.f.st-hatena.com/images/fotolife/P/PSP-PAGF/20171010/20171010113757.jpg?1507603162

 

  • 9月〇日、〇〇市内の〇〇歯科クリニックにて、定期検診(含:歯のクリーニング) (自分で運転)

 

 (2)  前回受診(2017年9月〇日)以降の体調の変化について 

 

  • 前回、セディール10mg×1/日のご処方を戴きましたが、特に効果も副作用も感じられませんでした。
  • 疲労時に両眼複視が出現 → 休息により回復。
  • 上記以外、特記すべき体調の変化は無かった。

 

 (3) 処方について  

 

  • 文献では、進行性核上性麻痺(以下、PSP)の薬物療法として、三環系抗うつ薬の有効例あり。
    • “Amitriptyline in the treatment of progressive supranuclear palsy.”, Kvale JN, Arch Neurol. 39:387-388,1982.
    • “Treatment of progressive supranuclear palsy with tricyclic antidepressants.”, Newman GC, Neurology. 1985 Aug;35(8):1189-93.
    • “Short time treatment of progressive supranuclear palsy with amitriptyline”, Yamashi M, et al, Rinsho Sinkeigaku. 1986 Nov;26(11):1138-41.
    • “Treatment of progressive supranuclear palsy with amitriptyline : therapeutic and toxic effects.”, Engel PA, J AM Geriatr Soc, 44:1072-4, 1996.

 

 

                    処方(1日当たり)

    薬  剤

    現在

    

    希望

 

プラミペキソール0.125mg

     1  錠   

     1  錠   

ドプス 100mg

     6  錠   

    0~3  錠※2

ノウリアスト 20mg

     2  錠   

     2  錠  

シンメトレル 50mg

     4  錠   

     4  錠  

アムロジピン5mg

     1  錠   

     1  錠  

 

 

   

トリプタノール 10mg

     0  錠  

     1  錠   

セディール 5mg

     2  錠※1

     3  錠  

※1:実際の処方は、10mg×1         ※2:Facebookの処方時、無効だったため

以上

   ―――――――――――――――――――――

 

頃合いを見計らって、妻がF医師に質問し、それに対して以下の回答を得た。

 

   「センセ、主人は座っていると、どんどん右に傾いて行ってしまうんです。 でも、それを言うと直るんです、が?」

 

   「それは、右と左で(筋肉の)緊張度が違うんだなぁ・・ (病気の)症状だよ」

 

   「・・ 症状ですかぁ。 では傾いたら、注意して直させればイイんですね?」

 

   「ええ(そうですよ) ・・」

 

   「後は・・ 家にいる時、いつも目を瞑っていて、物を取る時にこうやって探すんですが・・ それと、パソコンを打つ時、こんな風に手で目を開くんですが、これも症状なんですか?」

 

と言いながら、恰も、盲目の人がモノを探す時の様に、掌を水平面に廻した。 というより、テーブルの上をクロスで拭き、更に、親指と人差し指で瞼を開ける動作をして見せた。 私がいつも、

 

   「症状だから、仕方ない・・と言ってるだろう!」

 

と言っているが、信じていない様だ!?!

 

リハビリ394―「脚の力が強いからなぁ・・」  

 

2017年10月となった。 10月と聞くと、いよいよ秋も深まるのを感じると共に、今年も残り少ない・・と思うのである。

 

さて、10月最初の行事は、リハビリと診察だ。 そう、今日の担当は、いつものI士ではなく、Y士となる。

 

待合椅子の掛けて待っていると、ほぼ定刻にY士が声を掛けて来た。 しかし、

 

   「チョット、お待ちください?」

 

と言ったまま、事務所に消えた。 どれ位、待ったろうか? 随分長く感じたが、正味、2~3分であろう。 

 

   「お待たせしました」

 

とは言ったが、なぜ一度定刻に声をわざわざ掛けに来たのか、今でも不思議である。

 

   ――――――――――――――――――――

 

さて、並んでリハビリ室に入り、彼が空いている台を清拭して、本日のリハビリが始まった。 私が台に上がろうと靴を脱ぎ始めると、彼が私を止めて立位になる様指示した。 

 

   「私が今から、押しますので、耐えて下さい?」

 

と言い終わると、私の正面に位置し、両腕を前に伸ばして私の両肩を「ツン」と押した。 私が耐えるのを見て、今度は左右から、そして最後に私の後ろに廻って、前に押した。 続いて、私のみ台に腰掛け、上半身を左右に移動する事により片尻の状態になって、同じ様に左右に押した。 私は、全ての動作に耐えた。 要するに、バランスチェックであった。

 

そしてその後、マッサージとストレッチをこなして行った。

 

そうそう、今回、Y士はI士がやった事の無いトレーニングを行った。 それには・・

 

先ず、台に向かって、50~60cm程離れて立つ。 この時、足を肩幅に開く。 そして、上体を屈めて、両手を台の縁に置く。

 

続いて、その状態から徐々に腰を落として行く。 すると蹲踞(そんきょ)になるが、更にお尻を引いて落とすと、ウ〇コ座りになる。

 

さて最後に、立ち上がって、最初の姿勢に戻るのが課題らしい。 「らしい」と言うのは、課題と言う程の事も無い位、簡単だったので、私が、「スー・・」と立ち上がると、Y士は、

 

   「じゃあ、(両)手を(台から)離して出来ますか?」

 

と訊いて来た。 そこで私は、両腕を前に、キョンシー見たな格好で、同じく「スー・・」と立ち上がって見せた。 すると、彼もまるでI士が言った様に、半ば自虐的に言うのである。

 

   「脚の力があるからなぁ・・」

 

と。 それは、あたかも

 

   (なーんだ、そんなに簡単に出来るんじゃ、我々・理学療法士の出る幕が無いなぁ)

 

と言っている ・・ ハズは無い ・・ でしょう、ね!?! 

 

確か、前回もI士が同じ様な事を言っていた。

 

   http://psp-pagf.hatenablog.jp/entry/2017/10/28/080550

 

   ――――――――――――――――――――

 

今日は月初なので、「リハビリテーション総合計画書」を作成する日だ。 例によって、Y士がリハビリの目標やリハビリへの期待を訊いて来た。 私が「歩容の改善」と言うと、彼は、

 

   「もう、印刷しときましょうか?」

 

と言った。 仮に毎月同じでも、

 

   「(チッチッチ、そいつはワイパーだぜ!)」

 

とは思ったが、言わなかった。(古!)

 

 

 

リハビリ393―「脚の筋肉が強いからなぁ・・」

 

さて今日は、9月最後のリハビリの予約日だ。 そこで妻の運転で総合病院に出掛けた。 M医師の予診を受けて待っていると、I士が声を掛けて来た。 時計を見ると、未だ定刻3分前である。 そして、リハビリ室に入る時に、彼が訊いて来た。

 

   「どうですか、調子は?」

 

   「相変わらず・・です」

 

と、私が答えると、それ以上は質問してこなかった。

 

   ―――――――――――――――――――――

 

さて、先ずは下半身のマッサージとストレッチから始まった。 そして途中、四つん這いになり、2つ新技を取り入れた。 では、その新技とは?

 

先ずは、予備練習である。 四つん這いのまま、右手を後頭部に当てる。 そしてそのまま、肘を上げよ・・と言う。 従来は、手を天井に向けて上げ、上半身をひねる練習だった。 手なら真っ直ぐ上に上げられるが、その腕を畳むだけで、水平まで上げるのが難しくなる。 その事情は、左右を入れ替えても同じだった。

 

続いて、四つん這いのまま、片足を水平に上げる練習をした。 左右の足を交互に上げるのであるが、自分では水平に上がっていると思っても、未だ水平に達していないらしい。

 

そして、最後に2つ目の新技である。 I士が、

 

   「では続いて、右手を後頭部に置いたまま、左足を上げてみて下さい? そしたらそのまま、右手(肘)を上げて・・」、「ハイッ、左右を入れ替えて・・」

 

と指示した。 いや、別に動作そのものは、難しいものでもない。 しかし、バランスが取れないのである。 そのため、左足を完全には上げられない・・ すると、I士が左足を持ち上げるのであるが、すると、オットットとなってしまう。 

 

   ――――――――――――――――――――

 

更に、私は台に浅く腰掛けて両足を肩幅に開き、丸椅子に腰掛けて向かい合ったI士の両肩を持った。 すると、I士は丸椅子を引いた。 更に彼が両肩を引くので、私の上半身は思いっ切り前に倒れた。 その状態のまま、

 

   「ハイッ、胸を張ってぇ・・ 手はそのままで、自分で支えられますか?」

 

と言いながらI士は肩を下げたので、私は両腕を前に伸ばしたまま、スクワットの格好になった。 続いて、今度は彼の両肩を持ったまま、

 

   「お尻を持ち上げられますか? ・・ ハイ、下ろしてぇ・・」

 

と訊いた。 勿論、3~4回、難なくこなした。

 

以上の動作を、片足を大きく一歩踏み出した状態で行った。 (その後、左右の足を入れ替えて。)

 

別に、どう言った事でも無かったが、彼が、自虐的(?)な笑みを浮かべて、

 

   「(脚の筋肉が強いからなぁ・・)」

 

と半ば独り言の様に、言った。 きっと出来ないと思ったのかも知れない。 なぜそこで、彼が自虐的に笑まなければならないのか? そんな事を考えていると、こちらまで可笑しくなり、つい、失笑してしまった。

 

視力障害か?  

 

実は、午後からの運転で重大な事があった。

 

これまで、進行性核上性麻痺(PSP)の内の純粋無動症(PAGF)とのセカンドオピニオンを受けて、投薬治療を受けつつリハビリを頑張って来た。 それらの目標は、何れも最もADLを落としている「歩行障害」の克服であった。 そのため、主訴以外の症状(例:「開眼失行」、「小字症」、「構音障害」、「動作緩慢」等)については、患者本人も医療側も特別強い関心を示さなかった。

 

しかし、次(の重篤な症状)は「視力(眼球運動)障害」かと思えた。 と言うのは、これこそが「核上性麻痺」(=核上性注視麻痺)の言われであるからである。 そして、PSPが次の段階へと進んだ証左かと思われた。

 

と言うのも、http://www.nanbyou.or.jp/entry/4114 に、PSPについて次の記述があり、

 

「6. この病気ではどのような症状がおきますか

2) 眼球運動障害

上下、特に下向きの随意的眼球運動が障害され、下方をみることが困難になります。眼球運動障害は初期には認めないことも多く、多くの例で発症して2~3年経た後に出現します」

 

更には、http://www.nanbyou.or.jp/entry/4115 には、PAGFについて次の記述がある。

 

「5.予後
ADL低下の進行は速く、我が国の剖検例の検討では車椅子が必要となるのに2~3年、臥床状態になるのに4~5年であった。平均罹病期間は5~9年という報告が多い。参考事項にあるパーキンソン病型や純粋無動症型は経過が緩徐で、罹病期間が10年以上であることも少なくない」

 

まぁ、単純にPAGFの罹病期間を通常のPSPのそれの倍(=進行速度を半分)としたら、そろそろ眼球症状が出てもおかしくない頃である。

 

   ――――――――――――――――――

 

では、どの様な症状が出たのか? それは「両眼複視」であり、疲労時により出現して休息により消失した。 これで困るのは、遠近の目測が出来ない事である。 特に自動車を運転している時に出現すると、危険極まりない。 

 

実は烏賊博士との面談後、1人で運転し帰路に時にこの事に気付いたのであった。 前を走る車のナンバープレートに焦点が合わない・・ 勿論、車の大きさ(=距離)は片目でも分かるし、慣れた道なので片目運転でも問題ない。 ただ、道路左側に駐車している車との距離が分かり難いのが怖い。 この距離が足りないと接触の可能性があり、逆に距離を取り過ぎると反対車線を走る対向車との衝突の可能性が出て来る。 いずれにせよ、後者だけは万が一にも避けなければならない。

 

いよいよ、自力で移動できる距離が(自動車による)数十kmから(徒歩による)数十mになってしまうのだろうか?

 

以前担当していたY理学療法士が、

 

   「出来なくなったことを嘆くより、今、出来る事に感謝しよう」

 

と言う福祉の世界の言葉を紹介してくれたが、矢張り、出来なくなる事は悲しい。