パーキンソン病/症候群の闘病記です。 同病の方々のご参考になれば幸いです。

idやURLのPSPとはパーキンソン症候群の中の進行性核上性麻痺、PAGFとはPSPの非典型例である純粋無動症の事です。

診察201606―2

 

そしてほぼ診察が終了したようなので、私は封筒からA4の紙を1枚、取り出した。 それは、「指定難病医療費給付 継続申請のお知らせ」である。 この封筒の中に「臨床調査個人票 005 進行性核上性麻痺(更新)」が入っていて、取り出した紙には「難病指定医又は協力難病指定医が記入して下さい」と書いてある。 要は、更新のための診断書である。

 

勿論、予め、インターネットで、F医師が難病指定医である事は確認しておいた。

 

F医師はこの票を見るなり、書き込み始めた。 オオ、この場で書いている! と言う事は、今日中に貰えるのか!!! そして、

 

   「前回(の記入日)は、いつでした?」

 

と聞くので、

 

   「同じく6月です」

 

と答えると、モニターの画面を探し始めた。 そして、

 

   「(あった、あった! 6月○日ですねぇ・・)」

 

と独り言を言いながら、その記録を画面に拡大表示した。 そう、過去の文書が見られる様になっている。 それを見ながら記入し、ADL関する項目の所だけ、質問した。 例えば、

 

   「どうですか、食事は一人でできますか? 咽たりしませんか? トイレは一人でできますか? 入浴はどうですか? 階段は登れますか?」

 

等である。 で、記入したものを渡されたので、自宅に戻ってから見ると・・ 全般的に去年のものより、重くなっている。 

 

まぁ一般論であるが、俗にこの世界では「障害は軽く、等級は重く」と言われるが、この線には沿っている。 それには、妻のコメントがあったからであろう。 例えば、F医師の

 

   「食事は一人でできますか?」

 

に対し、私は肯定したが、妻が

 

   「でも、時々咽るじゃない!」

 

とか、

 

   「お風呂は一人で入れますか?」

 

   「えぇ、でもリフォームして、手摺りをそこらじゅう付けたんです・・」

 

等である。 そして、次回の予約を5週間後にお願いして、今日の診察を終えた。

 

でも、折角メモを書いてきたので、置いて来た。 そこには、ここ2週間のF医師による処方について、書いて置いた。

 

診察201606―1

今日は6月上旬の診察日である。 実は、2週間ぶりである。 きっと前回の処方変更の結果を早く知りたかったのだろう。

 

で、妻の運転で総合病院に着き、妻は正面玄関に私を置いて、車を駐車場に置きに行った。 その間、私は脳神経内科の待合室まで一人歩いて行くのだが、処方が合わないので入り口で立ちすくんでしまった。

 

   「(こりゃ、拙い・・ 脳神経内科まで歩いて行けないゾー)」

 

と直感した私は、入り口の脇に置いてある車椅子を借用し、いざって待合室付近まで行った。 どうも、手でホィールを廻すより、この(足で床を蹴って進む)方が早い。 それでも、この方法に辿り着くまで、試行錯誤をしたので時間が掛かり、待合場所の手前で妻と会った。

 

   ――――――――――――――――――――

 

さて、表示は3番目である事を示している。 時間前の到着なので、ほぼ予定通りの進捗の様だ。 そして、S医師ではなくF医師の名前が表示してあった。 もう、連続3回目なので、代診・・ではなく、事実上の交替である。

 

待っていると、20分程で自分の番号が表示されたので、車椅子を降り、入室した。 すると着席後、開口一番、F医師が質問した。

 

   「どうですか、調子は?」

 

と訊いたが、いきなりの質問で戸惑っていると、補足した。

 

   「お薬が変わって・・」

 

と言う意味だったのだ。 咄嗟に言葉を詰まらせてしまった私は、両人差し指で「×」を作った。 すると、F医師は、

 

   「そうですかぁ、だめでしたかぁ・・」

 

と小声で、自分に言い聞かせる様に言った。 その後、少し間を置いて

 

   「ではお薬の処方は以前のに戻しますねぇ」

 

と言った。 S医師が変わったために、処方設計が1ヶ月半遅れてしまった。 そして、口頭で2~3質問した。 さて、血圧の問題である。 今回こそ処方されると期待したが、F医師は、

 

   「こんなの、お持ちですか?」

 

と言って、手帳を出してきた。 見れば、製薬会社が配っている「家庭血圧日記」である。 要は、血圧を自分で測定し、記録するためのA5より小振りの手帳だ。

 

リハビリ316―突進歩行の予防法

で、5月末に所用があり、リハビリの予約を5月末から6月上旬の本日に変更して貰った。 そして今日が、その日である。

 

そこで、妻の運転で総合病院に行き、M医師の予診を受けた。 この時、バランスが悪化し、歩行状態も悪い旨を伝えた。

 

   ―――――――――――――――――――

 

そして、定刻5分遅れでI士による施術が始まった。 I士とは実は半月ぶりである。 私は、その理由を訊かれると思った。 しかし、I士は何も訊かなかったので、敢えてこちらからは、話さなかった。 きっと、訊かれるのを(詮索と思い)不快に思う患者もいるのだろう。

 

さて、その間の様子に対して、歩行困難を訴えたら、彼は、すくみ足と突進歩行ですね・・と確認した。 これが、今日の新技の伏線だった。

 

さて、いつも通りマッサージ・ストレッチ・筋トレをいつもより軽めにこなし、I士は私に靴を履く様指示した。 私がもたもたと靴を履いていると、彼はその間、備品用ロッカーから何かを出して来た。

 

見ると、高さ10cm程のミニハードルだった。 過去、このミニハードルを床に並べて、その間を歩く練習を行った事がある。

 

   http://psp-pagf.hatenablog.jp/entry/20130518/1368820599

 

所が、今回はそのミニハードルを一本しか持っていない。 これで、何をするんだろう?

 

   ――――――――――――――――――

 

I士は、そのミニハードルを自分の目前の床に置いた。 そして、彼は右脚で跨ぎ、続いて左脚も跨いで両足を揃えた。 続いて右脚で後退しながら跨ぎ、同様に左脚も同様に揃えて見せた。 これが1サイクルらしい。 これを10回程行った。

 

彼は私に、真似る様指示した。 更に、逆脚から始めたり、右脚スタートと左脚スタートとを交互に入れたりする訓練した。

 

やって見ると、最初は出来る。 しかし、時として、足がハードルに当たってしまう・・ そう、段々と足が上がらなくなってしまうのである。

 

   ―――――――――――――――――

 

更に、I士はハードルを彼の右横に、足と平行に置いた。 そして右脚で横にハードルを越してステップし、続いて左脚も越して、右脚に揃えた。 そして今度は左脚を左に戻し、続いて右脚もハードルを越して、左脚に揃えた。 以上を1サイクルとし、数回繰り返すのである。

 

勿論、これを左脚からも行った。 すると途中でバランスを崩してしまった。 すると彼は直ぐに私を止め、こう説明した。

 

   「ほら、ここですよ! 脚が出て、その上に体重が乗らない内に上半身が先に出たでしょ? すると、こうやって突進してしまうんです」

 

と、成る程、そうだったのか! 自分で再現してみて、納得した。

 

絶不調

で、前回の診察日から処方が変更となった。 その理由は、ドプスの副作用として昇圧の可能性を探りたいからである。

 

処方の変更 (処方量は、1日当たり)

     薬    剤

    診 察 前

    診 察 後

マドパー配合錠 100mg

    2  錠 

    3 錠   

ビ・シフロール0.125mg

    2  錠

    3 錠 相当

ドプス 100mg

    4.5 錠 

    1 錠   

シンメトレル 50mg

    2  錠 

    2 錠   

 

つまり、昇圧の原因と思われるドプスを減薬し、その分、抗PD薬を増やした。 では、これにより、体調や血圧はどの様に変化したであろう。

 

先ずは体調であるが、絶不調である。 歩行障害が一層進み、歩行困難に陥ってしまった。 特にすくみ足が酷く、下半身が固まってしまい、脚が出ないのである。

 

その理由として、以下の可能性を考えた。

 

   ① ドプスはすくみ足に有効である。

   ② 抗PD薬はPSP-PAGFには、無効である。

     ・ マドパーがPSPに無効なのは、セカンドオピニオン後の鑑別診断で明らか。

それまで3錠だったが、5.5錠に増量するも効果なく、3錠に戻した。

     ・ ビ・シフロールには円背化の副作用がある。

そこで、最高1.5mgから0.25mgまで減薬した。 最終的には0mgに。

     ・ マドパー並びにビ・シフロールを減薬するも、症状に変化は無かった。

   ③ 抗PD薬は、PSP-Parkinsonismに有効である。 他の臨床病型にも一時的に有効。

 

次に、血圧は? 

 

   ④ 収縮期・拡張期共に、大きな変化は観られなかった。

     ・ 過去、昇圧をドプスの副作用と疑い、6錠から3錠に半減した。

     ・ しかし、血圧に大きな変化は無く、ADLの低下が著しく4.5錠まで戻した。

 

重複するが、ドプスの昇圧副作用は、過去、S医師の時代に否定されたハズである。 まぁ、そこまでは引き継げていなかったのだろうし、D2アゴニスト(ビ・シフロール)を減らす段階にあった事も同様なのだろう。 

 

今後は、F医師が主体となるのだろうか? それなら、毎回の報告メモの書き方も変えなければならない。

 

 

認知症―3

さて、かかりつけ医に紹介状を書いて貰い、大学病院への受診日が近づいたある日、我が家にいた義母がその封筒を見つけてしまった。 その宛名書きを見ただけで察した義母は、自分は正常なので大学病院への受診はしない・・と、ダダをこねた。 それを義妹は上手く言いくるめて、実家に連れて行った。

 

さて、いよいよ受診日の当日になった。 すると義母が早朝の6時から風呂を貰いに来た。 理由は、「今日が、病院の受診日だから」と言う。 それを聞いて、私は安堵した。

 

   ――――――――――――――――――

 

で、義妹二人で、義母を連れ出し、そして6時間程して帰って来た。 随分時間が掛かったが、昼食を摂ったための様だ。

 

では、その様子は? 先ずは、問診である。 医師は、

 

   「ここは、どこですか? なぜ、受診しているのか、分かりますか?」

 

と質問した。 これに対し、義母は的確に答えた。 特に後者の質問に対しては、

 

   「この頃、(齢相応以上に)忘れる事が多いので、チャンと(専門医に)診て貰った方がイイ・・と娘に言われて」

 

と、病識がある事を言っていた。 そして、

 

   ① 自分は「お金が無くなった」なんて言った事は無い。

   ② 自分は、隣家(=我が家)に行くのは数日に1回位しかない。

   ③ 自分が隣家(=我が家)にご飯を貰って食べるのは、一年に1回位だ。

 

と、そこだけを聞くと、まるで常人である。 更に別室で簡易テストを行ったが、殆んど正答だったらしい。 例えば。100-7=?、93-7=?、86-7=?と、答えていた。 更に、医師が

 

   「今、何か困った事はありますか?」

 

と訊くと、

 

   「有りません」

 

と答えた様だ。 それは、自分の言動を忘れてしまうからだ・・と、医師が説明した。 本人も、興奮した時の言動を忘れているらしい。 医師は、この事を次の様に表現した。

 

「言いたい事を言って、本人はその事を忘れている。 (認知症とは)本人はお気楽で、周囲が振り回される病気なんです。」

 

そして、① MRI、② RI、③ 結果の説明日の予約を夫々、別の日に取って帰宅した。 ここで言う「RI」とは、「Radio Isotope」の事で、放射性同位元素を用いた脳血流量の測定の事である。

 

診察201605―3

さて、残るは処方と次回の予約日の決定である。

 

処方については、私の希望を書いて置いた。

 

(3) その他(処方上の希望) 

 

⑨ 前回は代診だったので

・ マドパー配合錠を1錠/日を減量したのみで、その他の処方に変更は無かった。

・ 降圧剤を希望したが、初見だったので(?)処方はされなかった。

⑩ 血圧は依然と高く、要治療域。 (収縮期150mmHg以上、拡張期100以上) 降圧剤の処方を希望します。

 

確かに「前回は代診だったので」は、拙い・・ ただ、血圧につていは、

 

   「高いですねぇ・・ これじゃあ、出血しちゃいますよ」

 

と言った。 内心、私は

 

   「(だから、降圧剤を ・・ って、前回もお願いしたじゃない!)」

 

と思ってしまった。 F医師は、ドプスに高血圧の副作用があるか否かを、辞書の様な厚い本で調べ、その事を確信した様だった。 そして、高血圧の原因がドプスの副作用なら、ドプスを減らすべきで、降圧剤の処方はその事を見極めてからだ・・と言う。

 

確かに正論だが、ドプスの副作用に関しては、既に結論が出ているハズ・・ その事を告げたが、上手く伝わらなかったらしく、F医師は

 

   「ドプスって、日本だけでしか使われていないんです」

 

と、私がドプスに関して疑念をもっていると思った様だった。 では、その代わりは?

L-Dopaらしい。

 

   「では、マドパー(100mg)は最高で、どれ位飲んでましたか?」

 

と訊いたので、5.5錠/日(=550mg/日)である旨を伝えた。 それを聞いてF医師は、まだマージンがあると思ったに違いない。

 

   「L-Dopaは、900mg、場合によっては1200mg飲む事もあるんですよ」

 

と説明した。 そしてD2 アゴニストの種類について、本の該当ページを開いて私の希望を訊いた。 つまり、徐放性の「ミラベックスLA錠0.375mg」はどうか・・と言う事である。 この「LA」は「Long Acting」の略らしい。

 

結局、処方は次の様になった。 (下記は、1日分)

 

   ・ ドプス100mg                 : 1錠 (朝食後)

   ・ マドパー100mg             : 3錠 (朝昼夕食後)

   ・ ミラベックスLA 0.375  : 1錠 (朝食後)

   ・ シンメトレル50mg        : 4錠 (朝夕食後、2錠ずつ)

 

これを見ると、まるでパーキンソン病に対する処方の様だ。

 

診察201605―2

続いて、この6週間の症状の変化について報告した。

 

(2) マドパー配合錠の減量後の体調の変化について 

⑤ 4月○日以降、私の希望により2錠/日に減量された。 その直後、体調に特に変化は無かった。

⑥ 尿が濃黄色から黄色になった。

⑦ 5月上旬の頃から、体調が悪化。 具体的には、バランスの悪化により歩容・歩行障害が酷くなる。 例えば、降車時、脚がすくんでバランスを失い、右肩に擦過傷を受傷した。 (右手に杖、左手に下げ袋)

⑧ ⑦は、⑤とは無関係に思われた。 そこで、⑦の原因として以下の3点を考えた。

  ・ 症状が、緩徐ではあるものの、進行してきている。

  ・ シンメトレルによる「ハネムーン期」(著効を示す期間)が、終焉となった。

  ・ 3~4月の腰痛により、運動量が低下した。 (2000歩/日が1000以下に)

 

ここが、本日のキモである。 F医師は、ジッと集中して眺めていた。 ここでは特にコメントは無かったが、途中、診察を入れた。 例えば座位のまま、両手を前に突き出して高速グーパーをやったり、腕の屈伸、腿上げ、続いて立位になって、ベッドへの腰掛け動作や、室内歩行をやったりした。 殆んどの項目で予想以上に出来たらしく、F医師は評価した。

 

また、リハビリについても、

 

「どんな事をやってますか?」

 

と訊くので、

 

   「ストレッチとか、マッサージとか・・」

 

と答えると、

 

   「どうですか、効果はありますか? 例えば、リハビリの後は体の動きが良いとか?」

 

と聞いたので、勿論、肯定の返事をした。

 

さて、残るは処方と次回の予約日の決定である。

 

所で、話は前後するが・・

 

通常は、診察日に合わせて、リハビリの予約を入れて置く。 勿論、今回も診察前に入れて置いた。 しかし今回は、急用のため電話でキャンセルせざるを得なかったのである。